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パーソナルトレーニングを始めた話~①生命の危機を感じて~

時間が無ェ、お金も無ェ、続ける根性ありゃし無ェ、
筋肉無ェ、体力無ェ、眩暈と貧血ぐーるぐる。おらジムなんか嫌だ~
おらジムなんか嫌だ~♪ どうせ続かねぇ~ 〽 

吉幾三「俺ら東京さ行ぐだ」の替え歌を作っている場合ではない。
最近「生命の危機」を感じている。

30代後半に差し掛かった女性は心身共に様々な不調が現われ始める。
原因探しに躍起になるも、大抵「ストレス」「女性ホルモンの減少」の二言で片づけられてしまう。
美人を形容することわざに「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」とあるが、最近の私は「立てば眩暈、座れば腰痛、歩く姿は成れの果て」
信号の点滅で小走りすれば動悸・息切れし、横の席で上司が暇そうにゴルフ動画を見ているだけで血圧が上がり溜息が止まらない。

昔友人に「身体に悪いと解っていても不摂生な生活が止められない」と相談して返ってきた台詞が今になって胸に迫る。
「本当にやりたいことが見つかってやろうとした時に、手遅れになって後悔しないようにね」

このままでは後悔しながら死ぬ-。
身体とメンタル不調もいよいよ鬼気迫ってきた。
「筋トレすれば全て解決する。筋トレ万能説」に兼ねてから賛同していた私は、本腰で肉体改造計画を実施すべく藁にもすがる思いでパーソナルトレーナーを探していた。

決め手

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私の専属トレーナーは2つ年下の元病院勤務、理学療法士の資格を持つ多田さん(仮名)。(吉本芸人COWCOWの多田さん似の為)

私の中で一般的なジムのパーソナルトレーニングといえば、筋肉隆々のタンクトップを着た色黒マッチョが「後30回!!」と声を荒げ「もう出来ませんコーチ!」と涙目で重量上げを強要される軍隊の訓練のようなイメージだ。

多田さんはトレーナーに見えない。成人男性にしては細身の体型だ。
聞けば胃腸の持病持ちと言う。
「看板に偽りなし」の言葉があるように、彼に「貴方をマッチョにしてみせます!!」と言われても「本当かよ」と思ってしまう。
多田さんは私のアクティブシニア会員のような要望に対し、「僕に任せてください!」と頼もしく宣言してくれた。

要望リスト
筋肉を付けて姿勢を良くしたい
持病がある為、負担がかからない「※ニコニコペース」で運動したい
正しいフォームを身に付け、一人でも運動出来るようになりたい
免疫力を上げたい
健康になりたい
※ニコニコペース…最大酸素摂取量の約50%に相当する運動強度の持久的運動。動不足に起因する疾病の予防・改善に有効かつ安全であることが、科学的に証明されている。

「エバさんの持病って差し支えなければ何か聞いてもいいですか?」
「潰瘍性大腸炎です」

「僕も一緒です!!!」

即決👍


私はジムのトレーナーに難病の人が居るとは思ってもいなかった。
「トレーナー=健康体」であって、病気の人の痛みや苦しみは解らないだろうと思い込んでいた。健康だからこそ、トレーナーの仕事が出来るのだろうと僻(ひが)んだ先入観があった。

彼なら任せられる。同じ疾病同士、メリットしかない。
好みじゃないから緊張もしない。COWCOWの多田さんかミルクボーイの駒場さんにしか見えない。
ウエイトを上げる苦痛に歪んだ不細工な表情を見られても、「ここに力を入れて!!」と臀部を触られても恥ずかしくない。

タイミング的に彼と出会ったのは必然だったのかもしれない。
全てに都合の良い解釈をし、私のパーソナルトレーニングが始まった。


不動の骨、化石化した筋肉。

「まずは真っすぐ立って下さい」

そう言われるといつもより良い姿勢を保とうと見栄を張ってしまう。
不自然に直立する私を色んな角度から観察し「うん、なるほど。なるほどね」と頷く多田さん。
「靴は内側がすり減りますね?」
「仰る通りです」 凄い。お見通しだ。

彼は屈伸やひねり運動で私の可動域を確認し、頸椎(首の骨)の動きに着目した。
7本ある頸椎は1本ずつ動くのが正常だが、私は動きが悪く何本か一緒くたに動いている為、自律神経に影響している可能性が高いらしい。

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次に猫背の一因になっている「小胸筋」のマッサージを教えてくれた。
肩甲骨を動かすこの筋肉が固くなり過緊張すると、肩が前方に引っ張られる為猫背になってしまう。
生まれてこのかた、そんな場所を意識してマッサージしたことは無い。
ガチガチになった小胸筋をピンポイントで押され思わず「イタイイタイイタイ!!!」と叫んだ。

私の身体はどうなっているのか。動くべき骨は動かず、筋肉は化石化している。
「痛いですか? でしょうね~」
「エバさんには言いたいことも聞きたいことも山のようにあります」
容赦無い多田さん。私は相当の問題児のようだ。

パーソナルトレーニングの価格は決して安くない。1回につきワンコインランチを15日間連続して食べられる位の料金。セレブの嗜み、贅沢の極み。
しかしこれは自分にとって必要な自己投資金額だ。身体は資本。
「今やらなければ死にますよ」と天の声に言われている気がする。
そんな理由で最低1か月は継続する決意を固めた。

憧れのマッチョ

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「先生、私引かれる位ムキムキになりたいんです!!」
最初のトレーニングで多田さんに述べた決意。

しかし今の私は横たわり、多田さんからマッサージを受け「あー、このままずっと揉んでいてほし~」と思っている。

トレーニングの最初は骨や節の微調整と点検の為、先生が私の四肢を操る。これが実に心地良い。絶妙な力加減で全身のバランスが整っていく気がする。
出来れば毎日してもらいたい。結婚したらしてくれるだろうか。どうだ、結婚しないか。

「先生、出来れば筋トレはしたくないので、一時間ずっと点検と調整をして下さい」(心の声)
心底の怠け願望が湧出し出した頃、何かを察した先生が口を開いた。

「ここに来れば何とかなる、何とかしてくれると思うんじゃなくて、自分から絶対に何とかしてやる!!と思う気持ちが大事です」

ドキッ ギクッ ビクッ 
動揺した私はすかさずトリッキーな質問をしてしまった。
「いつくらいから何とかなるっていう気持ちから、何とかしてやるって気持ちになるもんですかね?」
「えっ???」質問の意図が解らず困惑する先生。
「それはあんた次第だよ」誰もがそう思うであろう。
こんな会員のトレーニングもしなければいけないとは、トレーナーは大変な仕事だ。

パンドラの箱

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ジムのインストラクターと会員の個人的なやり取りは禁止されている。
多田さんは親切心から食事面でのアドバイスや、お勧めのトレーニング動画を送るサポートの為、Instagramからのメッセージのやり取りを提案してくれた。

それはまずい。

InstagramもTwitterもnoteのリンクを貼っている。つまり、Instagramのアカウントを知られる=noteの記事もバレることになる。

「婚活アプリ体験記」なんて読まれたら恥ずかしいし、トレーニングをネタに記事が書けなくなるのは嫌だ。
「絶対に見られたくない恥ずかしいブログを書いているので、SNSからのやり取りは出来ません」と断ると「じゃあ見ないようにするので大丈夫です」と言う。
「絶対に見ないで」と言われたら何としてでも見たくなるのが人間だ。

浦島太郎が「絶対に開けてはいけない」と言われた玉手箱と同じ、心理学で言う〝カリギュラ効果〟である。
そもそも絶対に読まれたくないブログを私は何故公開しているのだろうか。「絶対に見ないでほしい」は、実は「絶対に見て欲しい」の裏返しかもしれない。

1か月のトレーニングが終了した暁には、多田さんにパンドラの箱を開けてもらおうと思っている。
そうしたらこの記事は削除することになるだろう(笑)

つづく

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