アイラブユ、抱えて、ホットココア。
アイラブユ、抱えて、ホットココア。
いつか、わたしがまだ存在するうちに、こっそりと本をつくって、大切なひとにだけ読ませたい。
愛したら方が負けなら、わたしはずっと敗者の恍惚を望むだろう。
好きだったひとが、はじめて花を買ってくれた花屋に行った。思い出に気がついたとき、わたしは絶滅した。
頭の細胞なんて使ったら、恋愛も同棲も結婚もできなさそうだ。だから、馬鹿みたいに、心だけで君を好きなってしまえてよかった。
忘れてほしくない人間には一輪の花を渡したらいいし、同じ香水で会いに行けばいい。記憶は曖昧で、しかし強烈だから。
今日も、君が好きでどうにかなりそうだった。君の大切な場所やものを伝える声の愛おしさに、勝ててしまう人はいる?
一方で、あれだけじっと見つめて、愛おしくて堪らないと言ったいつかの彼の、わたしが知らない恋も存在する。
君もいつか、そんな過去のエピソードⅢになってしまうのだろうか。それすらも互いの肥になってしまうのだろうか。
仕方なかったと終わる恋と、これでいいんだと始まる恋を、ぜんぶあつめていたら冬になった。
今は、最低で最高なふたりでいたらいい。
好きだのひとことを、飲み込んでしまう方がいいときもある。ポケットに入れて、乾燥した手と一緒に。
元恋人と一緒に使っていた家具を、四万もかけてぜんぶ捨てた。全く、最後までお金のかかる恋人だった。
わたしなりの最後の愛情は、記憶からの抹消だよ。
何も無くなった部屋で聴くのは、きまってくるりの東京だ。相変わらず季節に敏感にいたい。
午後11時。いつものように電話がかかってきて、彼の時間をおもう。
その優しいわらい声に、また、ずっとここにいてなんて、改まった愛を伝えそうになる。
今日がこの部屋で過ごす最後の日だ。
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