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とおくのまち 女装回顧録

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女装。性同一性障害。トランスジェンダー。 私小説。回顧録。
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2022年3月の記事一覧

9 ニューハーフの夜

京都駅に到着したのは、すでに夕方だった。 新幹線のホームから見た景色は広大で、とても巨大…

れいか
2年前
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8 失踪 ほんとうの自分を探して

夏の終わりの夕刻、ターミナル駅の地下街を彷徨っていた。 家出したというのか、これから失踪…

れいか
2年前
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とおくのまち 7 崩れ行く家庭

結婚式も終わり、新婚旅行から戻る。 義務と責任感だけで生きているような毎日だ。新しい生活…

れいか
2年前
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とおくのまち 6 女装ルーム

 就職して、社会人になった。 社会はバブル崩壊の直後で、私も厳しい毎日に押しつぶされなが…

れいか
2年前
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とおくのまち 5 変身旅行

 それは、シンデレラの魔法のようなものなのかもしれない。 時間が来るとすぐに消えてしまっ…

れいか
2年前
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とおくのまち 4 きれいなお姉さん

   ファッション雑誌を時々、購入しては、かわいい服や靴がほしくてため息をついた。お金も…

れいか
2年前
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とおくのまち 3 女装のポートレート

 今でも大切にしている写真がある。 緑がかった灰色の背景紙のまえで、お洒落な椅子とともに佇んでいるオカッパ頭の少女。 大きなレースいっぱいのブラウス、ふんわりとしたフリルのスカート。緊張した面持ちで目線をこちらに向けていた。  自分の姿を写真に撮りたかったけれど、カメラはひとつも持っていなかった。 カメラなんていうものは、一家に一台あればよいほうという、そんな時代だった。 よく行く小さな本屋があり、その近くに写真屋があった。  「女の子の服装で撮影してほしいのですが……

とおくのまち 2

3.   隣の街へ   中学生のころからずっと憧れていた隣町のブティックがあった。 高校生に…

れいか
2年前
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