劇団☆新感線 : 「けむりの軍団」
劇団新感線39公演、いのうえ歌舞伎(亜)けむりの軍団。
「走れメロスmeets 隠し砦の三悪人」とは、演出家のいのうえひでのりさんが発表当時から言っていたことではありますが、そこに更に、「りぼんの騎士」と「ズートピア」風味を振り、中年バディムービー麹を混ぜて、30年寝かせて出来上がった古酒みたいな物語でありました。(伝われ)
素浪人(成志さん)と元軍配士(古田新太さん)が、ふとしたことから、囚われの身の姫君(清野菜名)を従者(須賀健太)共々隣国に送り届け、その間、民やら仲間やらのために戦う、というお話。
姫の生国の厚見家と、和議交渉のために嫁と言う名の人質に出された目良家に加え、一向一揆を率いる(歌って踊れる)槍の使い手の坊主を集めた寺、虐げられる民、最強という伝説を残して全滅したという「けむりの軍団」、お家断絶になった城主、妾腹の息子、陰謀の御台様、と戦国時代ロマンといえば?って聞かれたら出てくるキーワードをぎゅうぎゅうに詰め込んだら、3時間の話になっちゃった感じです。
チーム年配がすごいんです。とくに池田成志さま!口先八丁で、生き残ることには本能的に長けていて、でも、情緒深くて優しくて。気づいたら細かすぎて伝わらない芸をこれでもか!と入れ込んでいる。ラブ。
そしてもう一つのお目当ての、早乙女太一くんと(アクション監督の)川原正嗣さんの殺陣がもう... やっと周りに合わせて中途半端なスピードでやらずに済むよ!っていう全速力の太刀捌きでありました。芸術です、芸術。身体と刀が一体になって、一陣の風を起こす。それが二つ!竜巻二つ!!!瞬きなんてしてる暇、ありません。着物の裾を足でさばき、刀を一振り振り下ろす間にも、目線は次の獲物に移動し、そちらとの間合いを計りながらも、身体さらに次に向かう方向に開いている。なんだそれ。侍かよ(侍です)
1幕であれこれ大風呂敷を広げるのはいつも通りですが、2幕でも新たな事実が出てきて、これ全部回収できんの?って思っていたら、かなり強引ではありますが、きっちり回収されました。
愉快痛快時代劇。劇場を出る頃には少し暑さも和らいで、軽く飲むヴィーニョヴェルデがとっても美味しい夏の夕暮れとなりました。
8月後半にお代わり予定。その頃にはもう少し涼しくなっているかな。。。(遠い目)