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耳鳴り潰し229(友成空「ACTOR」、妻の肩、アナ雪と紅の思い出)

 朝食後のそれぞれのリラックスタイムに、娘が奇声をあげた。何事かと聞くと友成空の新曲がアップされていたという。

友成空(TOMONARI SORA) - "ACTOR" [Lyric Video]

 さっそくリピート再生してうろ覚えながら歌っていた。

「鬼の宴」「睨めっ娘」の人。

「この人ハズレないよな」
「大好き!」とのこと。

 子どもたちを学校に送り出してから、いろいろやっている最中に私も「ACTOR」をリピート再生する。口ずさんでみると、早口になる中間あたりが難しい。代わりに大サビがゆったりとした歌い方になる。

 声を出す機会の少ない日々に「鬼の宴」で発声練習していたのは半年以上前のことになる。

 薬をいくら変えても喉の調子が変わらないのは、これは病変ではなく、喉をあまりに使っていないからではないか、家族との会話以外で話をほとんどしていないからではないか、という結論に勝手に辿り着く。発声練習をしようということで、家中の窓を閉め切って、友成空「鬼ノ宴」を繰り返し歌う。途中からリハビリ用の2kgのトレーニングボール的なのをパーカッション替わりにしながら。それを見ていた妻は何も言わず。

泥辺五郎「耳鳴り潰し26」より

 息子と「鬼の宴」。

 それぞれとそれぞれの遊び方をしていた。鬼ごっこが始まっても私は全力では走れないので参加せず(走れないわけではないが、その後に響く)。息子は隙あらば「鬼ノ宴」を歌い出すので私も一緒に歌う。「この歌二番目に好きかも」という。「一番は?」「ブリンバンバン」とのこと。

泥辺五郎「耳鳴り潰し27」より

 こうして日々の印象的な出来事を記録しているから判明することもある。あまり嬉しくないことも。昼から用事で妻と電車で出かけた。電車の中でも、人混みの中でも、耳鳴りが大きく響いていた。以前はもっと小さくなかったか、と思い調べてみた。同じ用事で出かけた5月のことだ。

 所用で妻と出かける。電車の中ではあまり耳鳴りが気にならない。走行音と相殺するのか。

泥辺五郎「耳鳴り潰し17」より


 この頃はあまり気になっていなかったのだ。今は相殺する音が響いている状態でも、気にならないとはとてもいえない音量になっている。

 敢えて痛み止めを飲まずに出かけ、症状の状況を見ていた。そもそも痛み止めで治まる痛みは一部のものであり、激しい痛みは緩和されても、緩やかな痛みは続く。痛み止めを飲む怖さもある。痛み止めを飲んでいることで、してはいけない動きをしてしまい、余計に悪くなったりしないか、といったこと。

 行きも帰りも電車の中でダウンしていた。こういう機会に青春を取り返しておこうと、妻の肩にもたれかかって休んでいた。降りる駅が近づくと頻繁に夢の中に入った。

 息子とマイクラで遊んでいる最中に「『鬼の宴』の人の新曲が出てたよ」と言って、「ACTOR」「睨めっ娘」「鬼の宴」を繰り返し聴きながらプレイする。新曲はまだうまく歌えないが、他二曲を息子は歌っていた。

 先日、アニメ映画「スタードッグ&ターボキャット」を観た際に、それまで観た映画と違いイマイチで、その分観ながら様々なことを考えられる、といったことを書いた。金曜ロードショーで「アナと雪の女王」をやっていたので家族で観ていた。こちらは昔散々観たから、別の意味で思索の隙間が出来る、と思っていた。しかしあらゆる演出の見事さに圧倒されているうちに思索を忘れた。特にエルサの氷の魔力がバレてしまう場面から氷の宮殿建設までの凄さ。そりゃ娘もよく再現してたわけだ。息子は以前観たことはあるがまだ小さかったので、今回が初回に近い感じになるようで、やはり圧倒されていた。この間息子と小児科に行った際に、幼い女の子が自転車の後ろで「レディゴー、レディゴー!」とアナ雪の歌を歌っていた。人々を叫ばせる力、というものがある映画だ。いつも通りの時間に寝るので途中で止めたけど。昔散々観ていたのにも関わらず娘は「続き観るの楽しみ」と言っていた。

 私は「アナと雪の女王2」を娘と観に行った際のことを思い出していた。「紅ごっこ」のことも。

 映画を観てご飯を食べた後、ココと私は家に帰ってきた。健三郎は妻の勤め先と提携している保育園に通い始めた。二人が帰るまでまだ時間があったので、久しぶりに娘と二人でたっぷり遊んだ。思えば健三郎が生まれてからは、我慢し続けていると思う。おもちゃは取られ、宿題は邪魔され、夜泣きに起こされ。

 学校は冬休みに入り、友達と会う機会も減った。家の前に大きな公園があるので誰かしらとは会えるだろうが、寒いし外で遊ぶ機会も減るだろう。そうだ、家の中でも運動出来るような曲を教えておこう。最初はゆったりとしてストレッチでもしながら、アップテンポになれば曲に合わせてダンスを踊って、みたいな曲。そうだ。

 というわけで、X JAPAN「紅」を聴かせてみた。最近TOSHIって歌番組の特番でよく見るよな、なんて思って。
 そう、軽い気持ちだった。
 それがあんな事になるなんて、思っていなかった。

~中略~

「紅」はゆったりとしたテンポで始まる。曲に合わせてココとラジオ体操っぽい動きをしてみる。やがて始まる、一曲終わるとドラムのYOSHIKIが倒れ込むような激しいビートに合わせてアップテンポで踊ろうとしたが、思ってたより速くて難しそうだったので、ドラムを叩く真似をしてみる。「くーれないにーそーまーったー、こーのおーれーをー」と歌ってみる。ココは笑いながらすぐに真似して歌う。私よりも簡単に高音を歌いこなしている。

 タブレットで動画も見せてみる。ありし日のHIDEのアップから始まり、若いTOSHIが「紅だー!」と叫ぶ。そしてヘッドバンギング。真似をするとココが喜ぶ。自分ではしないようだ。無理して歌い、ツーバスでドラムを叩く真似をし、ヘドバンを繰り返す。若くはない私にはすぐに限界が近付く。ココは私のスマホで何故かTOSHIがアップになった瞬間をカメラで撮影している。ひよっとして変な扉開けてしまった? もう、聴かなかった前には戻れない?

 薄れていく意識の中で誰かが囁く。「未知の旅へ」と。「飛び出そう」と。「紅」2回で翌日私の体はボロボロになっている。ココは夕方買い物に行った時、自転車の後ろでずっと「くーれないにーそーまーったー、こーのおーれーをー」と歌っていた。

 結論。
 映画「アナと雪の女王2」を見ると、X JAPAN「紅」を歌えるようになる。

泥辺五郎「音楽小説集(現在凍結中)」内「Into the Unknown」より

 五年前。当時はYOSHIKIごっこができるくらいの体力があったのだ。

#なんのはなしですか

 今日の一枚「部屋に積みあがる大量のメモ」

複数の需要があったので。


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泥辺五郎
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