冬の匂い。
暦の上では、もう春だ。
しかしそんな事実をよそに、まだ冬は居座り続けるらしい。
乾燥した冬の空気が鼻をつくこの感覚…、なんともいえない。
そういえば、季節にはそれぞれ特有の「匂い」があるような気がする。
比喩的な意味ではなく、物理的に。
夏は、あの厳しい暑さとは反比例して、とても穏やかな匂い。
だからだろうか、ノスタルジックな気分になるのは。
逆に、冬の匂いは、なんだか切なくなるんだ。
冷たく乾燥した香りが、センチメンタルな気分にさせてくれる。
そう、冬の匂いを嗅ぐと、寂しくなってしまう。
胸がぎゅっと、締め付けられる感覚になる。
そんな冬の匂いを、なぜかもっと味わいたくなってしまった、そんな不思議な夜だった。
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