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【メノン(プラトン著/藤沢令夫訳)】【読書記録#27】

哲学について学ぶ本は学生時代も含め(もう忘却の彼方)、何冊か読んでいるのだが、本作品のように、対話形式なものについてはあまりなかった。

この形式でパッと思い浮かぶのは『嫌われる勇気』。
こういった昔の哲学書をモチーフにして作られたのかな?

閑話休題。本作品はタイトルの青年、メノンがソクラテスに「徳は教えられうるか」という問いを投げかけ、それに対してソクラテスが「徳とはそもそも何であるか」という問いに変換し、議論を深めていく、といった内容になっている。

メノンが言う「徳」の捉え方をソクラテスが多様な視点から質問していき、それは徳と言える、これは徳と言えない、などなど問答法を得意とするソクラテスと対話を行っていく。

特徴的なのは、ソクラテスが「徳とはこうだ!」といった定義を自ら行うことなく、メノンが考える「徳」をベースにして検討をしていること。

これは何だと思いますか?という問いを投げかけられたら、自分がどう思っているのを答えるものだと思っているが、議論の最初ではそのようなことをせず、ある程度議論してから仮説を立てる。そうして対話する相手と考察を行う。

自分の意見を表に出さず、客観的な言論のみを用いて議論を行う徹底さ、とてもマネできるものではないなと感じた。
どこかで主観が混ざってしまうものだが、それを排した議論を展開している。

本noteでは議論の内容には触れないが、170ページ程度の本になっているので、気軽に手に取ってみて欲しい。

本作品が土台になって、プラトンが『国家』を残したとのこと。今度はこちらを読んでみて、どのように実践的になったのかを学んでいきたい。

それではまた、次の本で。

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