見出し画像

文にあたる【書く人・読む人必見!】

「投稿」ボタンを押す瞬間。

少し緊張しますよね。
誤字や脱字が無いか、文章に変なところが無いか。

人によって程度の差はあれど、確認やチャックの作業をすると思います。
実はその作業は、立派な"校正"なんです。

私も『読書大学』でnoteを書いたり、Kindleで本を出版したりしており、ド素人ながら、校正をしています。

この校正という作業は、何も出版業界のみの話ではありません。

 校正の対象は本だけに限りません。雑誌や漫画、テレビのテロップ、映画の字幕、新聞、ネットニュース、ウェブサイト、カタログやチラシ、商品パッケージにいたるまで、世に出る前に目を通しているそれぞれの分野の専門家がいることを、この仕事を始めるまで想像したことがありませんでした。SNSに書き込みをするとき、投稿ボタンを押す前に読み返して書き直すのも立派な「校正」です。
文字や言葉のあるところにはすべて校正があるということもできます。

『文にあたる』はじめにより

今回ご紹介する『文にあたる』は、人気校正者の牟田都子さんが、校正という仕事を通して、文字や言葉、文章との向き合い方、さらにはその先にいる様々な仕事や人への思いを綴っています。

noteやXなどのSNSを利用する方、メールや資料作成などで文章を書く方、読書が好きな方…… 皆さんに読んでいただきたい1冊です。



〇著者

牟田 都子(人気校正者)

〇ジャンル

エッセイ、実用書

〇あらすじ

本を読むことが好きな著者が辿りついた仕事である"校正"

10年以上の経験を積み、今では人気校正者の1人になった彼女が、校正者の仕事ぶり、原稿や本への向き合い方、言葉や文章の捉え方などの思いのたけを綴ったエッセイ。

〇印象に残ったこと

【"校正"という仕事】

・誤植のチェック

・書かれている内容の事実確認
 ネットだけではなく、図書館で本を借りたり、過去の文献を確認したり、調べたりする。直接現地を確認することも……
・言葉の意味を調べる際も1冊のみならず複数の辞書を使って調べる

・校正をしたからと言って、全ての誤植が拾えきれている自信は無い
・校正箇所は鉛筆で入れるので、最終判断は著者に委ねる

・書籍のみならず、雑誌、広告、看板、snsなど、言葉や文章が存在するところに校正は常に存在する


【"誤植"の指摘】

・著者によっては文法の誤りをあえてそのままにする人もいる
・著者自身が自分のことを間違えることもある

・全てを指摘すれば良いということではない
・文法的に誤りがあっても、それがリアル感やグルーブ感を生み出し、魅力的となる文章も存在する
・誤植が一様に本の価値を下げるとは思えない(商業用広告や新聞など事実を伝えることが目的のものは除く)

【"疑う"ことの難しさ】

・人によって誤りの基準が異なることも多く、校正に"完璧"は存在しない
失敗は許されない反面、常に失敗しているという矛盾を抱えた仕事でもある

・小説の校正はどこまで現実に即すかが難しい。読者の中には現実との違いで違和感を感じる人もいれば、全く気にしない人もいる。また、現実とフィクションの境目が曖昧か否かにもよる。

・"疑う"ことは校正の基本であり、疑い方は十人十色


【なぜ校正が必要なのか、校正者の覚悟】

・校正は"防災"に例えられる
 校正が褒められることはあまりなく、逆に誤植が見つかると校正に批判がくることもある。それはこれまで数々の本が培ってきた本の信頼を守るため。多くの読書にとって本とは安心して読めるものである。その信頼を守るために校正が存在する。

校正者にとっては百冊のうちの一冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。
誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、べつの誰かにとっては、かけがえのない一冊なのだ。

帯より


〇感想

・1つの1つの文章から著者の謙虚さ、優しさが伝わってくる

・"校正"の仕事ってこんなにあるのかと脱帽
・校正者はまさに「疑う⇨調べる」のプロ
・これは1冊校正するのにも、膨大な時間がかかるなあと思う

・校正者がいかに覚悟をもって、文字や言葉、文章に向き合っているかを思い知った

・読書をする際に、「読者」としてもっと真摯に本と向き合おうと思えた
・言葉や文章は、「書く⇒校正する⇒読む」の過程があり、多くの人が関わっていて、壮大な輪廻のように感じた


以上です!

"校正"は文章が存在するところに存在し、その作業は私たちが想像する以上にとんでもなく深いものであることが伝わりました。

皆さんもこの本を読んで、"校正"を頭の片隅に置くと、書くことや読むことに対して、さらに視点が広がるかもしれません。


〇関連記事

noteやXなどのSNSをはじめ、文章を書く方にとって目から鱗が詰まっている本の紹介です。


Kindle本を出版するまでの作業や感想について書いた記事です。


いただいたサポートは本購入費用として大切に使わせていただきます📕