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二十億光年の孤独【"詩"って読む!?】
"詩"
皆さんは普段、"詩"を読みますか?
私は読書が好きで、小説はよく読みますが、詩はあまり読んでこなかったです。
もしかしたら、小学校や中学校の時に国語の教科書で読んだのが最後だったかもしれません。
これを読んでくださっている方の中にも、そのような方は多いのではないでしょうか?
それでも、谷川俊太郎さんのことは知っている、聞いたことがあるという方がほとんどだと思います。
今回は、詩人のレジェンドである谷川俊太郎さんの原点ともいえる、『二十億光年の孤独』をご紹介します。
○著者
・谷川 俊太郎 (著) 1931年(昭和6年)生まれ(現在92歳!)
・川村 和夫 (訳)
・W・I・エリオット (訳)
○ジャンル
詩集+エッセイ
○あらすじ
・詩人のレジェンドである谷川俊太郎の21歳デビュー作
(つまり、現在から約70年前に書かれた作品)
・作品のほかに、詩の作り方に語るエッセイや、作品を書く時に使用していたノート、海外で翻訳された英訳の詩が収録
○感想
【久しぶりに詩を読んで】
・詩は文字や言葉による"アート"だと感じた。
行間、段落、漢字、平仮名、カタカナなどを使って描かれた絵のよう。
・何かと忙しい生活をしていると、ついつい、「ハッキリ」、「つまり」、「効率」、「具体的」という、輪郭が濃く角張った考えや言葉を好みがちである。(世の中もそういう風潮?)
・しかし、「抽象的」、「よく分からない」、「ふわふわ」、「決めない」という、輪郭があるのか無いのか分からない、あっても毛糸のようにすぐにほどけてしまいそうな思考もたまにはあって良いと思うし、こういうのが癒しになったりする。(伝わっているだろうか?)
【作品の例(『かなしみ』)】
たとえば『かなしみ』という作品。
かなしみ
あの青い空の波の音が聞えるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい
透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった
・いつ、どこの話?
・おとし物って?
・透明?過去?遺失物係?
・なぜ悲しくなった?
・タイトルの"かなしみ"と文中の"悲しく"(ひらがなと漢字)の違いは?
いくらでも考えることができそう。
作者の谷川俊太郎さんの解釈はもちろんあると思うが、必ずしもそれを見つける必要はなく、読む人それぞれの自由な解釈があって良いと思う。
【"分からない"も楽しむ】
・"意味が分かりそうで分からない"、"何の比喩なのか"、"そもそも何かを喩えているのかすら分からない"という詩がいくつかあり、それは美術館の絵画を見ているよう。作品の文字を、頭の中で絵に変換していくが、変換できないこともしばしば。
・意味を考えるのも面白いが、"よく分からない"を素直に認めたうえで読むのも楽しい。
【オススメの読み方】
・ひたすら文字を追って読んでいこうとすると、文量的にすぐ読める。
しかし、それでは「結局何が言いたいのか、さっぱり分からなかった」なんてことになり兼ねなくて、非常にもったいない。
・本書を読む時は「ゆっくり、じっくり味わいながら読む」と決めておき、読書環境もそのようにして読む方がよい。
・読書というよりも、「文字や言葉によるマッサージを受ける」という感覚が近い気がする。
【詩だけじゃない】
・英訳については、英語が分かる人はもちろん、分からない人でも英語における詩の文字や言葉の配置など視覚的に楽しめる。日本語の作品と対比しながら読むのも面白い。
・谷川俊太郎さんの詩の作り方のエッセイや、手書きノートの写真など、1冊に色んなコンテンツが詰め込まれていて面白い。
以上です!
普段の本とは違う不思議な本でした。
長らく詩を読んでいなかったので、果たして読み方が正しいのか分からないですが、私はこのように楽しみました。
何かと忙しい生活の中で、皆様もたまには"詩"に触れてみてはいかがでしょうか。
○関連記事
こちらの記事では、詩人の谷川俊太郎さんと歌人の俵万智さんという"言葉のレジェンド"の対談をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!
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