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dok-s projectの映画日記

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2014年からYahoo映画に書いてきた、僕の映画感想文。
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記事一覧

dok-s の映画日記その46「オフィシャルシークレット」(2020)

dok-s の映画日記その46「オフィシャルシークレット」(2020)

「圧倒的正義」
評価:★★★★★

主人公キャサリンがイギリス政府の諜報に関する仕事中に、あの有名な2003年のイラク攻撃を前提としたアメリカの裏工作情報を入手し、マスコミにリークし大問題になった実話をベースにした話。

コンプライアンスがうるさくなった今日に、この最初のリークシーンを見ていて複雑な気分になった方も多いはず。うっかり漏らし賠償1000万なんてこともありましたな。まだそれらが緩かった

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dok-s の映画日記その45「はちどり」(2020)

dok-s の映画日記その45「はちどり」(2020)

「中2のウニ」
評価:★★★★★

 人気なんですね、この映画。なかなか当日券が買えずに苦労しました。前評判はほとんど知らなかったけど、私はポスターのウニの横顔、それのインパクトで見に行きました。

 90年代の、まだ男尊女卑が残る韓国のとある団地。主人公ウニが家の玄関チャイムを何度も押すところからスタート。お母さん!開けて!玄関は開く気配はない。ウニは階を間違えたんですね。そのシーンが彼女が感じ

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dok-s の映画日記その44「キリングフィールド」(1984)

dok-s の映画日記その44「キリングフィールド」(1984)

キリングフィールド
評価:★★★★★
「カンボジア版南極物語」

 忘れられないシーンが頭にこびりついて離れない映画はいくつもない。
 子供の頃に見てショックを受けた本作もその一つだ。なかなか現像出来ない写真、ひたすら腰が低いカンボジア人通訳ディスプラン、偉そうな兵士の怒号、絶望感たっぷりの別れ、田んぼでチャプチャプ帽子を洗うシーン、ブーレーブーシガレット?初めて覚えたフランス語、地雷の絶望感、骸

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dok-s の映画日記その43「その手に触れるまで」(2019)

dok-s の映画日記その43「その手に触れるまで」(2019)

「イスラム版大映ドラマ」
評価:★★★★

 イスラム教、その価値観が自由主義にミックスされてしまったベルギーのイスラム系住民の1人の少年が、兼スーパーを経営の導師の過激な教えの影響を受けた挙句に、自由主義者である学校の先生を「裏切り者」と刺し殺そうとして少年院へ入れられてしまう話。

 見終わった後、なんとなく懐かしい気分になった。
これ、子供の頃見てた80年代「大映ドラマ」じゃん、みたいな。ま

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dok-s の映画日記その42「海底47m 古代マヤの死の迷宮」(2019)

dok-s の映画日記その42「海底47m 古代マヤの死の迷宮」(2019)

サメvs女子高生
前作

昨年ユカタン半島に行ってきたので、前作同様、同じ舞台の本作はどうしても見ておきたかった。

あのへんはピラミッド以外にもセノーテという、幅は狭いのに水深50mはある隕石落下で出来た泉があり、ダイビングスポットにもなっているが、これがまた恐怖!一生あがって来れないんじゃないかってくらいの吸い込まれるような感覚で、昔は処女をいけにえに放り投げたという伝説も。

本作も、セノー

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dok-s の映画日記その41「グリーン・インフェルノ」(2013)

dok-s の映画日記その41「グリーン・インフェルノ」(2013)

「世界の料理ショー(アマゾン編)」
グリーンインフェルノBlu-ray

「おいしい料理があればこの世は天国」と往年の芳村真理に言われなくとも、この映画には数々のアマゾン特製料理がグラハムカーよろしく丁寧に調理され、紹介されます。

暴力的な森林伐採開発により、住むところを奪われつつあるアマゾンの原住民を守ろうとするも、敵と誤解をされて捕まった学生活動家たちが、アマゾンスペシャル料理の材料でありま

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dok-s の映画日記その40「タワーリング・インフェルノ」(1975)

dok-s の映画日記その40「タワーリング・インフェルノ」(1975)

評価:★★★★★
「今の映画には出せない臨場感」
タワーリング・インフェルノBlu-ray

同じ監督の、ポセイドンアドベンチャーを見た後だったので、脱出シーン、燃え盛る炎、大洪水、爆発はある程度想像は出来ていたが、綱渡りゴンドラ、エレベーター宙吊りなどのアイデアはポセアドの数段上回っている印象で、その迫力は21世紀の今でもクリビツテンギョー。
ポセアドのラストのヘリが向かった先は、天国ではなく、

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dok-s の映画日記その39「誰がハマーショルドを殺したか」(2020)

dok-s の映画日記その39「誰がハマーショルドを殺したか」(2020)

評価:★★★★
「趣味趣味探偵映画」
道しるべ【新装版】

1960年代の国連総長、ハマーショルドを知ってる人は多分今ほとんどいないでしょう。本日観に行った映画館で初老の方が、うっすら記憶にある、と誰かに話かけているのを耳にしたが、そのくらい昔の人でして、本作の監督兼ジャーナリスト、マッツ・ブリュガーも言っているように、特に思い入れはない。今の国連総長だって、誰が国連総長?みたいな。

なので本作

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dok-s の映画日記その38「帰ってきたヨッパライ」(1968)

dok-s の映画日記その38「帰ってきたヨッパライ」(1968)

「日本初のリミックス映画」
評価:★★★★

帰って来たヨッパライ

題名こそフォークルのヒット曲「帰って来たヨッパライ」だが、中身はヨッパライとは関係なさそうな、大資本の綺麗なフィルムで撮影した反戦テイストな実験映画。
当時は難解で相当不評だったとか。意味不明すぎて、見ていた子供が泣き出したとか。

しかし、このフィルムは、それまでの芸能人とは違う、突然変異で現れた、アマチュア学生フォークバンド

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dok-s の映画日記その37「10クローバーフィールド・レーン」(2016)

dok-s の映画日記その37「10クローバーフィールド・レーン」(2016)

「青春のアポカリサイコ未知との遭遇」
10クローバーフィールド・レーン (字幕版)

評価:★★★★★
映画は主人公ホリーのよそ見運転事故から話は展開する。
個人的に、映画の定番であるところの、よそ見運転シーンは、拳銃のシーンの次に苦手ではあるのだが、これがトリガーとなるのなら我慢するしかない。

以後は怒涛の映画の定番の連続。
映画の満漢全席となる。
まずは前菜にサイコサスペンス、ストックホルム

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dok-s の映画日記その36「トランス・ワールド」(2011)

dok-s の映画日記その36「トランス・ワールド」(2011)

トランス・ワールド

「全員集合」
評価:★★★★
構成はとても良かった。前半1時間くらいまでの謎解きタイムにどっぷり浸かれて。

同い年くらいの男1人に女2人。
気がついたら森にいて、抜け出したくても抜け出せないシチュエーション。
こういうの好きね。

出てくるアイテムも、使えない無線機、戦前のワイン、アメリカにいるはずなのに、ドイツ語の文字の缶、謎の防空壕、ロケット、登場人物が互いに微妙に異な

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dok-s の映画日記その35「ヒポクラテスたち」(1980)

dok-s の映画日記その35「ヒポクラテスたち」(1980)

評価:★★★★
「ATG版青春の光と影」

ヒポクラテスたち [Blu-ray]

ヒポクラテスたち。
まぁ〜素晴らしい映画になっております、と林美雄氏ならずともため息が出そうな若き息吹たち。

若いのは俳優だけではない、大森一樹監督28歳の作品。そして、今や重鎮になった名優たち、既に故人となった方も。皆若い!なにしろ40年前の作品ですから、何があってもおかしくは無い。

あの晴れた1980年の京

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dok-s の映画日記その34「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)

dok-s の映画日記その34「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)

ニュー・シネマ・パラダイス (字幕版)

評価:★★★★★
「モリコーネに捧げる」

長いこと見ていなかったが、久々に鑑賞。

多分、ディレクターズカット版の余計なシーンまで観てしまって以来、魅力が半減してしまい、見なくなったのだと思う。
そのくらい、この映画の短縮版は文句なしの編集だから、もうこれ以上見ないでおこうと思った。

それ以外にも、この映画の素晴らしい音楽を作った、エンリオ・モリコーネ

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dok-s の映画日記その33「ホテルニューハンプシャー」(1984)

dok-s の映画日記その33「ホテルニューハンプシャー」(1984)

ホテル・ニューハンプシャー ブルーレイ [Blu-ray]
評価:★★★★★
「はかない夢のあらわれ」

ホテルニュー岡部には温泉があるが、ホテルニューハンプシャーには、夢がある。

あるホテルがきっかけで生まれた家族の物語だが、夢を現実にと、家族の絆はホテル経営へと向かう。
そこでは数々の夢や希望が現れるが、別の形で消えてもゆく。
それでも家族は続く。
時を超え、場所を超え。夢のトリガーとなる熊

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