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dok-s の映画日記その33「ホテルニューハンプシャー」(1984)

ホテル・ニューハンプシャー ブルーレイ [Blu-ray]
評価:★★★★★
「はかない夢のあらわれ」

ホテルニュー岡部には温泉があるが、ホテルニューハンプシャーには、夢がある。

あるホテルがきっかけで生まれた家族の物語だが、夢を現実にと、家族の絆はホテル経営へと向かう。
そこでは数々の夢や希望が現れるが、別の形で消えてもゆく。
それでも家族は続く。
時を超え、場所を超え。夢のトリガーとなる熊も現れ、家族を支える。
その夢が儚く消えて「開いた窓」から家族が消えても、それでも続く。
人生に大切なのは希望や絶望を支える、愛だ。

家族は愛おしい、そして強い。
家族がひとり去ってはまた現れる。
ニューを超えたニューニューファミリーがやがて形成され、巧まずして幸福へと誘う。

まるでシルバニアファミリーのごとく、家族それぞれがミニチュアな人形のような扱いで、単純明快に展開される話は見ていて気持ちがいい。

まだ20代前半だったころの、姉役のジョディ・フォスターに、熊役のナターシャ・キンスキー、80年代の2大美人女優のたおやかな演技、そんな彼女らとラブシーンを繰り広げる80年代世界の弟役、ロブロウの若さ溢れる演技も見逃せない、大事な作品だ。

この映画を見るたびに、ウェス・アンダーソンの作品も思い出す。心あらずなスピーディーな展開、家族のテーマ。きっと影響を受けたに違いない。
(2020.5.28)

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