ターニング・ポイント:核兵器と冷戦-第1話・巨大な太陽の出現(Netflix)-ハリウッド映画(オッペンハイマー)が被爆地と被爆者を取り扱うことは困難
自らと家族による数々の不正(蓄財)を隠蔽するために、ロシアのボリス・エリツィン(初代)大統領がKGB出身(KGBを辞職する前は5年間に渡りドレスデンに駐在)のウラジーミル・プーチンを後継者に指名したことも一因となって、旧ソヴィエト連邦の軍隊のみならず諜報機関が温存された結果、プーチン大統領がさながら皇帝のように振る舞う新生(帝政)ロシアが誕生しました。
同じ時期に共産党と資本家が結託しながら中国も肥大化したため、ロシア、中国、他と民主主義・自由主義陣営との間で冷戦は続いており、核兵器の脅威は過去のものではありません。ロシアがウクライナ領内で核兵器を使用するか否かはわかりませんが、ソヴィエト連邦とアメリカが敵対していた時代とは異なり、原油と天然ガスで国力をつけたイスラム諸国においても核武装への志向は高まると推測され、終末時計(ドゥームズデイ・クロック)の針は真夜中に近づく一方です。
変貌しながら今日まで続く冷戦を全9話(計約10時間)で俯瞰するドキュメンタリー番組『核兵器と冷戦』が先月から Netflix で公開されています。
唯一の日本人スタッフ(Co-Producer の一人)として制作に参加された大矢英代(おおや・はなよ)さんのご活躍もあって、全9話の中でも、日本国内で制作されるドキュメンタリー番組並みに被爆地と被爆者が登場する第1話『巨大な太陽の出現』はお薦めです。
被爆地と被爆者の惨状をアメリカ国内で最初に伝えたのはジョン・ハーシーですが
アトミック・カフェ(1982年)で広く知られているように、79年前に原子爆弾を実戦で使用して以来ずっと、アメリカは原子爆弾・水素爆弾のキノコ雲の下で起きる惨禍を市民へ限りなく過少に伝えてきました。
その甲斐(?)あって、アメリカ国内で被爆地と被爆者の惨状を伝えようとする度に、関係者は猛烈な反対に晒されてきました。
30年近く前に大きな挫折を経験したスミソニアン博物館が、来年、第二次世界大戦に関する展示内容の刷新に合わせて、これまで展示説明になかった原爆被害にも言及する予定であると報道されていますが、今回も大きな騒動に発展するかもしれません。
少し前の記事『マンハッタン計画を現場で指揮したトーマス・ファーレル准将の手記(1946年)』
でも書きましたが、米国資本で制作され公開される映画が広島と長崎に心を寄せることは原爆の投下から79回目の夏をむかえる2024年においても不可能に近いと考えられます。一方、Netflix のように自主制作したコンテンツを世界中へ同時に配信することが可能なプラットフォームにおいては、海外に視聴者がいれば、またドキュメンタリー番組の形であれば、被爆地と被爆者の実情を伝えることに大きな障害はないようです。
第1話『巨大な太陽の出現』には、日本国内で制作されたドキュメンタリー番組でもあまり見られない視点が加えられています。アメリカへ移住していた日本人とその家族は、日米開戦後、全米各地の収容所(リロケーション・センター / コンセントレーション・キャンプ)へ殆ど着の身着のままで連れていかれました。太平洋戦争中に日系アメリカ人に対して当たり前のように人種差別的な仕打ちが行われたのと同様に、何ら心を痛めることなく、原子爆弾は使用されたようです。
連合国軍は、太平洋戦争末期の日本と同様に、第二次世界大戦末期にドイツで(ウクライナに対するロシアのように)無差別爆撃を行いましたが、もし原子爆弾が1~2年早く完成していたとしても、ハンブルクやドレスデンに原子爆弾が投下されたかどうか定かではありません。
英語でも(日本語字幕付)日本語でも(吹き替え)視聴可能ですので、お時間があれば...
ターニング・ポイント:核兵器と冷戦(全9話)
1.巨大な太陽の出現
第二次世界大戦中、アメリカが着手した極秘計画。それはのちに日本の都市に対する原爆投下へとつながり、数十年に及ぶ世界的な対立を引き起こすことになる。
2.底深くに侵食する毒
ロシアと中国で共産主義が広まるなか、ヨシフ・スターリンによる残虐な支配が始まる。そしてソ連は、恐怖政治の時代に突入していく。
3.組織的狂気
ソ連との戦争に備え、アメリカは熱核爆弾(水爆)の実験を開始する。一方、CIAが誕生し、国際政治に干渉するようになる。
4.ベルリンの壁
アメリカとソ連が核軍拡競争に陥る一方で、ベルリンには壁が築かれる。キューバ危機が勃発し、ジョン・F・ケネディは平和的な解決策を模索する。
5.戦争ゲーム
それぞれに最悪のシナリオを想定するなか、ロナルド・レーガンとミハイル・ゴルバチョフは妥協点を見いだす。チェルノブイリ原子力発電所で悲惨な事故が発生する。
6.帝国の崩壊
ベルリンの壁が崩壊し、ソ連共産党の保守派がゴルバチョフに対するクーデターを起こすなか、東欧諸国に対するソ連の支配は弱体化していく。
7.歴史の終わり
ソ連を構成する共和国が独立を求めるなか、ロシアに新たなリーダーが登場する。そしてついにソ連は消滅し、複数の核保有国が核不拡散条約に署名する。
8.沈黙を破るモスクワ
ロシアが混乱状態に陥るなか、ウラジミール・プーチンが権力の座に就く。冷戦が過去のものになったと思われた頃、対テロ戦争が始まる。
9.我々は滅びず
ロシアがジョージアとウクライナに侵攻したことを受け、プーチンに対し世界の厳しい目が注がれる。虚偽の情報が広まる一方で、核戦争の脅威はいまだ続いている。
【 原文 】
https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/history/howard-kakita-hiroshima-atomic-bomb-survivor/
【 Google 翻訳 】
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