「君と夏が、鉄塔の上」を読んで
私の生家の隣には鉄塔が建っている。気付いた時にはその場所に佇んでいて、風景の一部としてすっかり溶け込んでしまっていた。ちなみに私は生家に住み続けている。つまり、人生の半分以上を鉄塔の隣で過ごしていることになる。だからきっと、この本を手に取るのは必然だったのだと、今は思う。
この本は、主人公の伊達成実が、同級生の帆月蒼唯、比奈山優とともに経験した一夏の冒険譚である。鉄塔好きの伊達と、幽霊が見えるという比奈山。「鉄塔にまつわる幽霊の話って知らない?」という帆月の言葉がきっかけで