見出し画像

ゲーム屋人生へのレクイエム 52話

家庭用ゲームの仕事がクソゲー評価地獄でげんなりしたころのおはなし

「もう勘弁して~!これじゃまるで罰ゲームじゃないか~!」

「どうしたんですか急に」

「当時の心境だよ。遊ぶか遊ばないか、自分で判断することができないゲームの評価ばかりやり続けたらさすがに疲れてね。目は疲れるし、指先は痛くなるし、頭も疲れるしね。何とかならないものかと考えたんだよ」

「それでどうしたんですか」

「息抜きに自分で買ったゲームを遊ぶことにした」

「どれだけゲームするんですか」

「ゲームが好きなのよ。それで、評価したゲームの中からライセンスしてもいいかもっていう候補をプロダクトマネージャーに提出するのよ。そこから先はマネージャー会議で売れるかどうか、何本くらい売れるか、ライセンス交渉するかどうかを決めるんだよ」

「会議に出たんですか?」

「出ないよ。ペーペーの俺はゲームの評価だけ。ライセンス交渉すると決まったらライセンス条件を付けて本社に交渉を依頼するのよ」

「条件ってどんなものがあるんですか?」

「いろいろあるぞ。一番多いのは最低保証数を決めてそれ以上売れたら一本いくら払うというスタイルだな。これに移植費用を加える。たまにあるのは利益折半という契約でね。最低保証数はないけど売れた利益はすべて折半だ。ライセンスに関する経費も折半する。どういう契約にするかはライセンスする側、受ける側の思惑で決まるんだ。最低保証数を決める場合はライセンスする側にまとまった金額が最初に入る。保証数を超えてからの本数当たりのロイヤリティは下がる。ライセンスを受ける側は最低保証数を超えたところから利益率がぐっと上がる。何本を最低保証数にするかは非常にムズイ。ゲームの出来や販売価格、宣伝広告費の設定に大きく左右されるからね。利益折半はリスク折半でもある。ライセンスする側は開発費を負担する。ライセンスされる側は宣伝広告費を負担する」

「そんな契約があるんですね。知りませんでした」

「俺も全然知らなかった。それで、ゲームの評価だけをやってたからね。何か月か経ってから評価以外の仕事も任されるようになってね。プロジェクトの進捗管理とか本社とのやり取りとか。それでプロジェクト全体が見えるようになってきたのよ。ゲーム海外版移植制作のプロジェクトだけど結構なボリュームがあってね。3か月から4か月はみっちり詰まってる。複数のプロジェクトが同時進行する事も多かったから忙しい毎日だったぞ」

「なんだか面白うそうですね」

「うむ。面白い。プロジェクトが終わったら達成感があるし、ゲームが売れたら嬉しいしね。それで家庭用ゲームの仕事をはじめてから半年くらいしてある出来事が起こってね」

「何があったんですか?」

「それは・・・おっと、もう1100文字を超えているじゃないか。そろそろ切り上げて次回に繋げないと」

「このまま続けてもいいんですよ」

「いやいや、冗長だって思われるでしょ、って言ってたらもう1200文字だよ。はい。おわり。次回に続く」

続く
この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体とは一切関係ありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?