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オリジナルストーリー

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私が捜索したオリジナルストーリーをまとめています。
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記事一覧

キョーグルカズキと不思議なお爺さん

キョーグルカズキと不思議なお爺さん

とある小さな村に住む元気な男の子、キョーグルカズキ。みんなは彼のことを山が大好きな男の子として認識しており、カズキくんと呼ばれ村のみんなにかわいがられていた。カズキは山登りが大好きで、休みの日は必ず山に登っていた。ある日、カズキはいつものように山に登っていると、不思議な老人に出会った。老人は、山道を歩くカズキを見つめ、にっこりと笑った。

カズキは老人の視線に気づき振り向いた。老人の不思議な雰囲気

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【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #最終話

【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #最終話

孝徳の家は決して裕福ではなかった。父は毎日のように酒を飲み、ことあるごとに母に文句を言っては困らせていた。働いてはいたが、給料の大半は父親の酒と趣味である競馬に注ぎ込まれていた。そのため、自分のおもちゃなんていうものは存在せず、日々の食事でさえぎりぎりの状態であった。母親も懸命に働いてはいるが、その金も父に使われていた。

「僕、こんな家だからさ。おもちゃなんて持ってないんだ。そんな時、和也くんた

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【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #5

【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #5

翌日。
この日の授業が終わり、帰りの会も終わろうとしていた。荒木先生の連絡事項では、「最近変質者がいるのでなるべく1人で帰らないこと」という注意事項が伝達された。「おじさんが車の中から道案内をお願いする」とか、「お菓子を配るお婆さんがいる」とか、「夕方裸になるおじいさんが出る」とか、そういう話をしていた。荒木先生は、「いずれにしてもまともに対応をせず、逃げたり大人に助けを求めるなりしてください。」

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【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #4

【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #4

この日の学校が終わった。和也はサツキのところに駆け寄った。
「サツキちゃん。今、ちょっといいかな?」
サツキは和也に向き直った。
「ん?何?」
「あのさ。朝に光男の家に、「純太の他に人がいた」って言ってたけど、誰なのか分からないかな?」
サツキは上を見てうーんと唸った。
「顔は見えなかったけど、同じくらいの子だったかなぁ。服装は男の服装だったと思う。あ、あとランドセルはしょってた。黒の。」
「そっ

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【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #3

【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #3

翌日。学校の休み時間に和也と純太、光男が話していた。
「あのさ、ちょっと聞いてくれない?」
なになに?と純太と光男が興味がありそうなそぶりを見せた。はぁっとため息をついてから和也が話した。
「昨日さー。僕のお菓子が消えちゃったんだよ。」
「は?どういうことだよ。」
光男が食いついてきた。
「昨日お母さんが用意してくれたお菓子を楽しみにしてたんだけどさ。家に帰ったらなかったんだよ。お母さんは僕が食べ

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【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #2

【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #2

「ただいまー」
和也が玄関を開けて、靴を脱ぎながらそう言うと、キッチンから母がやってきた。
「あれ?和也。あんた出かけてたの?」
と不思議そうに言ってきた。
「え?学校から帰ってきて、すぐに光男の家に行ったんだけど。」
母は不思議そうに和也に言った。
「変ね。私もずっといたけど…。あんたのお菓子がキッチンから無くなってたから、部屋にこもって食べてるのかと思ってたわ。」
「えっ!僕のお菓子ないの!?

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【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #1

【創作】猫糞(ねこばば)【短編小説】 (全6話) #1

帰りの会が終わり、和也はランドセルの中に教科書とノートを詰め込んだ。小学3年生にもなるとそれなりの量になる。忘れ物がないか確認して、ランドセルを背負う。すると2人の友人が和也に駆け寄ってきた。光男と純太だった。
「一緒に帰ろうぜ!」
「うん。帰ろう。」
光男と純太は小学1年生の時に知り合った。和也たちの学年は3クラスあった。3年生の時はみんな別のクラスだったのだが、3年生になってまた一緒のクラスに

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【短編小説】消えた灯

【短編小説】消えた灯

消えた灯


六本木ヒルズの展望台から東京が見渡す。天気は良好だが、大きな入道雲が太陽を隠していた。
男はスマホを取り出すと、アドレス帳を開いて登録されている友人の連絡先をひとつ、またひとつと削除していった。
「さよならだ。」
男はそう呟くと六本木ヒルズの展望台を後にして、ゆっくりと歩き始めた。

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はじめてのJAF

はじめてのJAF

では聞いてください。「はじめてのJAF」

動かない君
僕のせいかな?
妻の車ばかり
動かしてたから

エンジンが for you
かからない for you

なんで?
なんでよ!?
Ah~

はじめてのJAF
でんわかける
I need you here right away.
なぜか虚しい気持ちが
oh, いっぱい

はじめてのJAF
レッカー車が来る
I need you here rig

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【創作】真夜中の家で鳴り響く音

【創作】真夜中の家で鳴り響く音

宗平は夜中に目を覚ました。家の中で鳴り響く妙な音に気付いたからだ。まるで木魚のような音だった。どこから鳴っているのか、宗平は耳を澄ませた。音は一定の間隔で響き、やがて止んだ。宗平は不思議に思いながら、再び眠ろうとした。

しかし、しばらくするとまた音が始まった。今度はもっと大きく、もっと近くで。宗平はこの音が気になり、布団から出た。音は階段の方から聞こえてきた。宗平は懐中電灯を手に取り、音の源を探

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腕

先日の話である。

この日は暑かった。夏のような日差しで、汗ばむほどだった。そんな日の朝、私はめずらしく早朝の散歩をしていた。いつもの公園を通り、ゴミを漁っていたカラスが私に気付き飛んで逃げる。いつもと変わらない朝だった。しかし、歩きながら周囲を見渡すと、見慣れない車が停まっていた。

黒いスポーツタイプの車だった。こんな車は今まで見たことがない。おそらくこの辺の住人ではないのだろう。車の中には誰

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石動くんの秘密

石動くんの秘密

学校からの帰り道。僕は石動くんと一緒に帰っていた。宿題が多くていやだとか、今日の給食はおいしかったなとか、そういうたわいもない話をしながら。石動くんは自分からはあまり話さなかったけれど、僕の話を聞いて笑ってくれた。それが嬉しくて、僕は次から次へと石動くんに話をしていた。そんな時だった。石動くんは突然右腕を上げて、指先をピンと伸ばした。
「僕は今から地球に向かって飛んできている隕石を破壊する。このま

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闇落ち

闇落ち

早朝。静寂がまだ街を包み込んでいる中、ダニエルの携帯電話がけたたましく鳴り響いた。時計を見ると午前5時を少し過ぎたところだった。
「誰だろう?」
ダニエルは眉をひそめながら画面を見つめた。そこには"ポッケ"という名前が表示されていた。大学時代の友人、ポッケからの電話だった。

ポッケとは大学を卒業してからあまり連絡を取っていなかった。最後に連絡を取ったのは社会人になってから2,3年くらいの頃だった

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【創作】とある男へのメッセージ

【創作】とある男へのメッセージ

或る日の喫茶店で私は知人に喫茶店へ呼び出された。なんでも奇妙な手紙をもらったのだという。それを見てほしいと。呼び出された場所に付くと、テラス席に座っている知人が見えた。私に気が付いて、軽く手を振る。知人の名前はイトウという。
「急に悪いね。」
連絡がきたのはつい先日。こんなことを話せるのは君だけなんだと早口に捲し立ててきた。
私はテラス席に座り、店員にアイスコーヒーを注文した。店員が去るのを見とど

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