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発達障害を和らげる方法

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ASD/ADHD当事者の実体験をもとに、発達障害の生きづらさを軽くするコツを紹介中。
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#多様性を考える

発達障害は見えない障害…当事者がヘルプマークに思うこと

最近、不思議と、赤地に白十字が描かれたヘルプマークをよく目にします。 ヘルプマークとは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の人にそれを知らせるマーク。東京都がはじめたこの取組みは、今や全国的に広がりつつあります。 私は週5日、電車通勤をしているのですけど、1〜2日に1回はヘルプマークを見かけていますね。内閣府の調査によると、日本における障害者の割合は約7.4%(平成28年現在)。ヘルプマークをつけている人と毎日のように道ですれ違っても、何らおか

発達障害の理解が広がるように、世間が早く追いついてほしい

「生まれてくる時代が早かったかも」 発達障害があることに気づかないまま、大人になってしまった当事者として、ふと感じることがあります。 ADHDで多動な子だった私。当時はADHDなんて言葉は、ほとんど知られていません。小学校では脱走を繰り返し、遅刻はもはや常習犯。世間からは落ち着きのない子だと、レッテルを貼られてばかりいたけれど……もう少し後に生まれていたら、多動は脳の特性ゆえと認められて、すくすく育つことができたかもしれない…… 私は世間に追いつめられるように生きてきま

障害のある人に優しいブックカフェ・リスト(発達障害中心)

日本全国には、障害者にかかわるカフェがいくつかあります。 同じ悩みがある人が交流できるカフェ、当事者が店員となって活躍するカフェなど…… それらのカフェのなかには、障害をテーマにした本を数多く置いているブックカフェもあります。お客さまはコーヒーなどを飲みながら、本を読むことができます。 私は6月に、発達障害についての本を上梓しました。このようなブックカフェにお願いして、本を置かせていただくことになりました。 以下、拙著が読めるブックカフェのリストです。 (先着順に掲

障害者は自己主張してはいけないの?~思いが言えない理由と、言いやすくなるコツ~

日本にはどれくらいの障害者がいるか知っていますか? 「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)によると、障害者の総数は936万人。全人口の約7.4%が何らかの障害を抱えている計算になります。これだけ大勢の当事者がいると、困りごとの種類や程度など、多種多様を極めることが想像できるでしょう。 「社会で活躍したい!」「個性を発揮したい!」と純粋に願っている当事者も、きっと多いはず。ところが、障害があるという理由だけで、自己主張が抑え込まれているケースは少なくありま

幸せに生きること、普通であること、どちらを願う?

「お宅のお子さんは、自閉症じゃないですか?」 私が幼稚園生のとき、母が幼稚園の先生から言われた言葉です。発達検査や療育を受けることを、暗に提案していたのかもしれません。 その言葉に対して、母は頑なに大反発。 「あの先生、本当にひどいこと言ったのよ!あなたは自閉症じゃないかって!そんなわけないわよね!」 私が大人になってから、母は憎らし気にそのエピソードを口にしました。語ったというよりも、発作的によみがえった怒りをぶつけてきたと言った方が、正しいかもしれません。 その

発達障害に特効薬はなくても…自分らしく生きるには?

発達障害の特効薬……これさえ服用すれば発達障害は治るという薬は存在しないと言われています。ADHDに関しては特性の緩和が期待できる薬もありますが、それも絶対ではないでしょう。私は医師ではないので、薬物治療に関しては何も言えません。それでもASD当事者としては、薬物によって本人を変えるよりも、本人を変えないまま環境を調整した方が、はるかに生きやすくなるのではないか……と実感しています。 ASD当事者である私の服薬状況実は今週末、約半年ぶりに精神科へ足を運びました。 私は20

自閉症スペクトラムとは何か~ASDの特徴・診断・呼び名について~

私が発達障害と診断された直後に読んで、大変参考になった著書……『自閉症スペクトラムとは何か』(千住淳:著)を紹介します。 著者の千住さんは、自閉症の研究者です。当事者(本人・家族)や支援者(医師・教師)の方々の協力を得て、自閉症の基礎研究を行っているとのこと。 自閉症のことについて、これまで何がわかっていて、何がわかっていないのか。研究者の立場から解説されています。その内容は、自閉症の診断、遺伝子、脳、認知、発達、社会……と、多岐にわたります。 本書が出版されたのは20

発達障害でも生まれつきコミュニケーションが苦手な人などいない

発達障害(特に自閉症スペクトラム障害:以下ASD)のある人でコミュニケーションを苦手とする人は多いと思います。 児童精神科医であるローナ・ウィングさんによると、ASDには3つの大きな特性があり、そのうちのひとつが「コミュニケーションの特性」です。 (参考:ローナ・ウィングの3つ組み) ・社会性の特性 ・コミュニケーションの特性 ・想像力の特性 つまり、ASDの傾向がある人は多かれ少なかれ、ふつうの人とは違うコミュニケーションの特性があり、時と場合によってはコミュニケーシ

日本で発達障害者として雇用されている人の数は?

発達障害者は一般的に、日本の全人口の1%程度いると言われています。全人口が約1億2000万人なので、その1%は約120万人ですね。軽度の人も含めると、もっといるのではないかと思います。そのうち、実際に診断をされて障害者雇用で働いている人は、何人くらいいるのでしょう? 私自身、発達障害をオープンにして就職いるので、自分と同じ立場の人はどれくらいいるか気になります。当事者ですでに障害者雇用で働いている人や、これから働こうとしている人にも参考になるかもしれないので、厚生労働省の調

【お知らせ】合理的配慮に関する記事を福祉サイトに寄稿しました

合理的配慮をテーマにした記事を、福祉情報サイト・WelSearch(ウェルサーチ)に寄稿しました。企画から編集まで、心をこめて手がけました。ぜひ多くの方に、ご覧いただきたいです。 (なお、以前の筆名である「あすか」名義で書いています) 合理的配慮とは? 「合理的配慮」という言葉を、見聞きしたことはありますか? 障害のある人やそのご家族、支援者の方にとっては、お馴染みかもしれません。でもなかには、初めて知る方もいるかもしれないですね。 合理的配慮とは、障害のある人が社会

ギフテッド支援よりも大切なこと…あらゆる個性の受け入れを

2022年8月7日。文部科学省が来年度からギフテッドの支援に乗り出すというニュースが、世間を駆け巡りました。ギフテッドとは、突出した才能の持ち主のこと。私はその一報に触れたとき、なぜか知り合いのKちゃんのことを思い出しました。 Kちゃんこそまさにギフテッド。写真よりもリアルな絵を描くことができました。それなのにどこか自信なさげで、もっとちゃんと働けるようになりたいと、嘆いていた女の子です。 私はKちゃんのような子が、才能を伸ばせるような支援があるのは嬉しいです。でもそれ以

なぜ障害受容したくない?差別と偏見が嫌なだけです

先日、上記のようなツイートをしたあと、なぜか胸の奥がモヤモヤしていました。 「自己受容と障害受容は何が違うのだろう? どうして私は、自分の発達障害だけは、受け入れたくないんだろう?」 疑問はしぶとく燻って止みません。 そこで自分の気持ちを整理するために、noteでも同内容をあらためて投稿することにしました。いつも以上に本音をぶちまけているので、読む人によってはきつい内容かもしれません。その場合は、素通りしていただけると助かります。 (大前提)私が発達障害を受容したくな