長慶 裕道

1957年生まれのおじさん?いやおじいちゃんです。 毎日好きなフォークギターをひいたり…

長慶 裕道

1957年生まれのおじさん?いやおじいちゃんです。 毎日好きなフォークギターをひいたり、曲を作ったりしています。 読書も趣味でオール読物などを定期購読しています。 また暇をみて料理を作っています。いずれの趣味も中途半端で手抜きです。

マガジン

  • 音楽 カバー

    自分たちで録音した音楽のうちカバーしたもの

  • 小説(自作)

    人生でやり残したことの一つに小説を書くこと。とりあえずやってみます

  • 音楽 オリジナルなど

    自分たちで作ったオリジナルの曲です。

  • マイ・フェイバリット・ソングス

    好きな歌や歌手

  • 料理

    暇なので時々料理を作ってます。YouTubeでいろんな料理の作り方が見れるので参考にして作ってます。時に成功、時に失敗

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南から吹いてた風

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      スカボロフェア― サイモンとガーファンクル カバー

      • マリア様はご機嫌ナナメ 36 四月は別れの季節

         僕は大学を無事に卒業した。戸越の アパートの大きな荷物を処分して、大阪のそれぞれの実家へ送れるものは送った。  僕とマリアは東京駅の新幹線ホームにいた。見送りには、浅田さん、しのぶさん、麗子さんが見送りに来た。  「もうお腹が目立つね」  しのぶさんがマリアに言った。 今日のマリアはキャメルのニットのワンピースを着ていた。そして、首には僕が贈った十字架のペンダントヘッドのネックレスを付けていた。 浅田さんは僕に、 「何かあったら相談しろよ」 僕の肩を叩いた。 しのぶさんと麗

        • マリア様はご機嫌ナナメ 35 どんな未来

           僕たちの大学三年間はこんな感じで終わり、僕たちは四年生になった。  思えば貧乏な僕を大阪の本屋のカズオさん、タカオさん、そして高校の恩師、松本先生が学資と東京での生活費を奨学金として援助してくれた。ラジオ局の浅田さんも応援してくれて、マリアもピアノの講師のバイトをやってくれた。  マリアと一緒に暮らしてもう三年になる。帝塚山育ちのお嬢さんだったマリアも風呂無し、クーラー無しの木造アパートで慣れない家事をやりながら僕と一緒に三年間を走り抜けた。マリアと初めて会ってから六年にな

        南から吹いてた風

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        • 音楽 カバー
          10本
        • 小説(自作)
          35本
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          25本
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        記事

          マリア様はご機嫌ナナメ 34 マリアのボーカル

           この年はしのぶさんは国営放送の長編ドラマの主役の仕事が忙しく、番組は麗子さん、マリア、そして僕の三人で運営した。一つ新しくなったのは新しくエーディのアルバイトが加わった。青田君と言って東北、仙台の出身で朴訥とした青年だ。もちろん早稲田の学生だ。作家の井上ひさしさんを尊敬すっる文学部の一年生だ。正直言って嬉しかった。番組の準備は忙しいし、スタジオに入って麗子さんとマリアを相手にお喋りをしなければならない。飛び込みでレコードのリクエストが入ったら、とても取りに行けなかった。

          マリア様はご機嫌ナナメ 34 マリアのボーカル

          マリア様はご機嫌ナナメ 33 平穏な日々

           年が開けて春になり僕は三年生になった。大学も順調だし、バイトの仕事も楽しい。マリアは年末の演奏からきっぱり芸能方面の仕事を断って、局にもあまり来なくなった。  平穏な日々? そうだ僕とマリアは東京に来てから波乱万丈だった。  平穏な日々が一番だ。僕は天を仰いで神様に祈った。  僕は気晴らしにとマリアを海に誘った。もちろん、僕たち二人だけでは無い。いつもの四人組だ。麗子さの別荘が葉山にあるのでそこへ遊びに行こうというプランだ。さすが田園調布のお嬢さんだね、 「うちの別荘へ

          マリア様はご機嫌ナナメ 33 平穏な日々

          マリア様はご機嫌ナナメ 31 大晦日の歌合戦

           アメリカから帰って僕たちは何時もの日常に戻った。アメリカ旅行の 珍道中の話は反響も大きかった。マリアの深夜のお喋りも板についてきた。 そんなある日、  「進堂ちゃ~ん」 の浅田さんお声だ。 「しのぶのジャズナイトは好評だし、上の方も期待している。それで、今まで放送したのをまとめてレコードにする話がある」  そうだな、僕は局にいるからお気に入りのライブは好きな時に何回でも聴ける。これをアルバムにしたらファンの皆は喜ぶだろうな。  「でも、浅田さんレコードを作るのってお金掛かる

          マリア様はご機嫌ナナメ 31 大晦日の歌合戦

          マリア様はご機嫌ナナメ 30 四人組、アメリカへ行く

           オールナイトの月曜日は四人組、しのぶさん、麗子さん、マリアと僕。仲良く遊びののような番組を続けてた。  またあの浅田さが僕に話けて来た。 「進堂君」 あれ、進堂ちゃんじゃないの? 「今度、アメリカへ出張に行ってもらいたいんだ」  それは、局の将来を見据えて、アメリカのラジオ、テレビなどの訪問。それも歳をとった人間が行くんでなく、若い人の感性で見たきて欲しいとの意向だった。 真顔の浅田さんって珍しいな。でもメンバーを聞いて、大丈夫かなと思った。いつもの四人組だ。しのぶさ

          マリア様はご機嫌ナナメ 30 四人組、アメリカへ行く

          マリア様はご機嫌ナナメ 29 マリアがスター?

           反響は凄かった。ライブそのものに関する賞賛も多数あったが、「進堂マリアって誰?」というマリアへの問い合わせも多く含まれていた。  浅田さんが興奮気味にハガキみ目をt通してる。 「進堂ちゃん、進堂ちゃん」 僕は「来た」と思った。 「マリアちゃんに関するハガキが多いな。勿論、ピアノの演奏も好評だけど、いきなり彗星のように現れた美少女ピアニスト。彼女はどんな人っていう問い合わせがたくさんあるよ。強引で、向こう見ずで、しかも狂暴な黒の衣装を着た魔女」 浅田さんはすっかり僕がいつも

          マリア様はご機嫌ナナメ 29 マリアがスター?

          マリア様はご機嫌ナナメ 28 クリスマス・ライブ

           そこへしのぶさんが通りかかった。 「あら、楽しそうじゃない」 「あ、しのぶさん、おはようございます。実はクリスマス企画のライブのリハーサルをしてたんです」 浅田さんが説明した。 「それ、楽しそうじゃない。私も参加したいな」 「しのぶさん、録音でやるので、午後七時の時間帯はしのぶさんは別のスケジュール入っていて無理でしたよね」 しのぶさんは一緒にいるマネージャに、 「何とかならないのかな~」 女優の貫禄だな。 「ちょっと無理みたいですが、やってみます」 マネージャ氏は困った顔

          マリア様はご機嫌ナナメ 28 クリスマス・ライブ

          マリア様はご機嫌ナナメ 27 マリアの伴奏

           「進堂ちゃん、なかなか良い感じじゃない」 浅田さんは機嫌が良い。 「けっこう大変なんですよ。ネタ切れにならないように日々格闘中ですよ」 「実はさ、クリスマスの企画で、白石麗子のライブをやろうかと考えているんだ。しかも、お客さんを入れて一時間の公開番組で」  浅田さんはこういう突飛な企画を時々する。それで局でも名物ディレクターと呼ばれてる。こんなふうに「進堂ちゃ~ん」という時は要注意だ。ほぼやるに決まっている。  お客さまを入れるので、午前二時から三時の時間帯では無理だ。そ

          マリア様はご機嫌ナナメ 27 マリアの伴奏

          マリア様はご機嫌ナナメ 26  白石麗子。見参!

           「進堂ちゃん、ちょっと」 呼ばれたので浅田さんのデスクへ行った。 「十月の番組の改編で、月曜日の二時のところに目下売り出し中のアイドル、白石麗子のコーナーを三十分入れることになった」   「白石麗子ですか」 「そうなんだよね、彼女はアイドル歌手としては、もう歳を食ってるし、まあ、見栄えはそれなりなんだけどね・・・」 浅田さんにしては歯切れが悪いな。 「天の声だよ」 僕も多少はこの世界を知り始めた。 「要するに、彼女は大会社の重役さんのお嬢さんで、系列のテレビ局の役員を通じて

          マリア様はご機嫌ナナメ 26  白石麗子。見参!

          マリア様はご機嫌ナナメ 25 素敵な、しのぶさん

           僕の職場の様子を少し話しておこう。ラジオ局だから、アナウンサーが話してそれを放送する。番組はスタジオで作られる。局には観客が入って観覧できる大きなスタジオから、四畳半程の小さなスタジオまでいくつかのスタジオがある。スタジオの横には大きなガラス窓に区切られた通称「サブ」と呼ばれる副調整室がある。サブに陣取ったディレクターが番組を進めていく。「キュー」と呼ばれる手の合図でスタジオのアナウンサーやディスクジョッキー、我々の局ではパーソナリティーと呼ばれる話し手が番組を進めていく。

          マリア様はご機嫌ナナメ 25 素敵な、しのぶさん

          マリア様はご機嫌ナナメ 23 マリア様立ち上がる

           その日、僕はバイト明けの重たい体を引きづってアパートに戻った。重い足でアパートの階段をあがり、僕はドアを開けて、 「君のダ~リンは、いささかお疲れ、風呂屋が開く頃に起こして」 僕はそう言って倒れこんだ。  最近マリアは僕を「オイ」とか「お前」とか「カイ」とか呼ばなくなった。でも、「ダーリン」はキツイな。そう思いながらマリアの膝の上に頭を乗せ眠りに落ちた。  初夏の朝の風は優しくマリアの髪をとおり抜け、時々、僕の頬に落ちた。徹夜の仕事はきついけど僕の疲れた体をつつみ込んでく

          マリア様はご機嫌ナナメ 23 マリア様立ち上がる

          マリア様はご機嫌ナナメ 23 新しいバイト

           とにかく僕たちにはお金が必要だった。学費と最低限の生活費は持ってきたけど、生活費は僕一人が暮らすことを想定したものでマリアとの二人暮らしで、二間と台所付の月々のアパートの家賃を想定していなかった。それは僕の一か月の生活費を既に超えていた。それに教科書を買わなければならないのだけど、これが驚くほど高い。それはそうだ、大学向けの教科書何て発行部数が少ないので、どうしても高くなる。  マリアは入学する予定だった音楽大学へ連絡して、とりあえず休学する手続きをした。そして、高校のこ

          マリア様はご機嫌ナナメ 23 新しいバイト

          マリア様はご機嫌ナナメ 22 戸越銀座

           高田馬場へ出て大学へ行った。 「わ~これが早稲田か、わが宿敵か、この野郎、おかげで私まで東京に来る羽目になったわ」 強引についてきたくせにそれは無いよなと僕は思ったが、この性格は直らんろうなとも思った。  学生課でいろいろ手続きをして、二人で暮らせそうなアパートを探しに僕らは東京中を歩き回った。楽しそうにはしゃぎながら不動産屋を廻マリアだった。  「良いよねさっきの部屋、カイの大学にも近いし」 「良いよねここも、落ち着いていて」  大学に近いと家賃は高い、遠くなると安く

          マリア様はご機嫌ナナメ 22 戸越銀座