マリア様はご機嫌ナナメ 36 四月は別れの季節
僕は大学を無事に卒業した。戸越の
アパートの大きな荷物を処分して、大阪のそれぞれの実家へ送れるものは送った。
僕とマリアは東京駅の新幹線ホームにいた。浅田さん、しのぶさん、麗子さんが見送りに来た。
「もうお腹が目立つね」
しのぶさんがマリアに言った。
今日のマリアはキャメルのニットのワンピースを着ていた。そして、首には僕が贈った十字架のペンダントヘッドのネックレスを付けていた。
浅田さんは僕に、
「何かあったら相談しろよ」
僕の肩を叩いた。
しのぶさんと麗子さんは花束をマリアにくれた。そして三人で抱き合って泣いていた。
確かに、四月は別れの季節なんだ。四年前にここに着いたときは押しかけ彼女のマリアがくっついてきた。あれから四年たったんだ。僕も少しセンチになって涙が出てきた。僕とマリアを乗せた新大阪行きひかり号は定刻通り出発した。僕は目を閉じて四年間のことを思いだしていた。