【DX初心者向け】業務フロー可視化のためのBPMNのわかりやすい書き方
※この記事はAmazonアソシエイトリンクを途中含んでいます。
社内の業務フローを整理する必要があるがどうすればいいかわからない。
このような悩みを持たれる方は意外と多いのではないかなと思います。
昨今DXと叫ばれ、さまざまなツールの導入も進む中、業務フローの把握はミドルの職種でも必須のスキルとなりつつある感じがしています。
そんな折、先日社内でBPMNの初心者向けの講座を開いてくれないかと相談があり、講座をしたところ意外と実は知りたかったという声が多かったので未熟ながらブログの方でも話した内容を中心にまとめてみようと思います。
※専門のITコンサルタントやSIerの方向けではないのであらかじめご認識ください。
BPMNとは
まずBPMN(Business Process Model Notation)ですが、
これはOMG(Object Management Group)という団体で標準化が進められているビジネスプロセスの表記法です。
標準化された記号を使うことで
誰がみてもわかるように業務フローの流れを整理、可視化することができます。
BPMNを構成するパーツ
ここではBPMNを構成するパーツで代表的なものをみていこうと思います。
パーツその1:プール・レーン
まずはプールとレーンです。
この記号は業務プロセスでの関係者を表現しています。
基本的には1関係者1レーンとして長方形を作成します。
作成する際にはできるだけ組織が違う場合(作業主体が違う場合)は分けて書くのをお勧めします。
また、同じ組織で複数のプレイヤーがいる場合はレーンをつなげてプールを作成します。
レーンは業務フロー状の関係組織(関係者)を表現してくれるため、
業務フローが変更する場合などに連絡をとった方がいい人物がわかりやすくなります。
パーツその2:イベント
2つ目はイベントです。
イベントは各業務フローの開始と終了の場所を教えてくれます。
基本的には細い線の丸が開始となり、太線の丸は終了を表します。
イベント内にメールマークや時計マークがある場合はそれぞれ上記の図のようにメッセージや指定の時間帯がくるとその業務フローが実行されることを示しています。
パーツその3:アクティビティ・タスク
3つ目はアクティビティです。
これは業務フローでの各作業を表現しています。
業務フローはこのアクティビティが連なったものであるのでできるだけ洗い出し、粒度を揃えて時系列に沿って並べていきます。
パーツその4:ゲートウェイ
4つ目はゲートウェイです。
これは業務フロー内に条件分岐がある場合に使用します
(例えば申請を承認した場合と差し戻す場合など)。
パーツその5:フロー
最後はフローの矢印です。
アクティビティ同士の流れやメッセージの流れを矢印で表現します。
個人的には”動作の流れ”は実線、”情報の流れ”は点線で覚えると書き込みやすいかなと思います。
BPMNの記号はこれ以外にもたくさんあるため、実際の業務に合わせて検索しながら適切な表現を選択してみてください!
BPMNの簡易的な書き方
では、簡単にパーツも見てこれたのでここからはBPMNの簡易的な書き方を書いていきます。
ただし、個人的なやり方も混ざるので正式に学びたい方は専門書・サイトなどをオススメします。
※OMGの公式は英語なので正直初めは日本語のサイトで調べて真似から始めるのがオススメです。
STEP1:まずは関係者を明らかにする→レーンを揃える
まず初めに関係者を表すレーンの下地を作成します。
BPMNは誰がどのアクティビティを行うかを表現するのですが、アクティビティはこのレーンの上に書いていくのでまずは土台から作成しましょう。
STEP2 アクティビティと条件分岐を並べる
レーンが敷ければ次は業務フロー上のアクティビティを洗い出しましょう。
ヒアリングで聞き出す際には時系列に沿って普段行っている作業を話してもらい、それをアクティビティで並べましょう。
この段階ではまだフローの矢印を書き込まなくても大丈夫です。
というのも2-3人にヒアリングする中で抜けていたアクティビティが出てきたり、実は作業が前後していたということもあるので、まずはアクティビティのボックスを並べることに集中してもらえたら無駄な修正が減ります。
また、アクティビティをヒアリングしていくと条件によって対応が異なるケースや同時並行で行っているケースが出てきます。
この際に条件分岐を表現するゲートウェイを作り、抜け漏れなくパターンを整理しましょう。
アクティビティをヒアリングする際には通常業務に加えて、”例外的な対応”が存在しないかは確かめることをオススメします。
(これによって開発要件が増えたりすることもザラにあります。)
STEP3 作業の開始点・中間・終了点を置く
アクティビティが洗いだせれば、業務フローの開始と終了を表すイベントを記載しましょう。
イベントを置く際にはそのイベントが何をトリガーに開始するのかを確かめてください。
イベントの開始のトリガーを確認して以下の場合であればそれぞれマークを追記してください。
イベントの開始がメッセージの場合→イベント内にメールマーク
イベントの開始が指定時間の場合→イベント内にタイマーマーク
STEP4 フローの矢印でアクティビティをつなぐ
アクティビティが出揃えばここでやっと業務フローの矢印を書き込んでください。この際に矢印は以下で使い分けてください。
業務フローの作業に関わるもの→実線でつなぐ
コミュニケーションや情報のやり取り→点線でつなぐ
また、情報のやり取りの際にシステムなどから情報を抽出したり、参照するケースがあればそれもこの際に書き込んでしまうのがオススメです。
STEP5 補足情報を追記する
最後に業務フローでは表現できなかった補足情報があれば吹き出しをつけて
記載してください。
これで一旦簡易的なBPMNは完成します!
そこまで複雑な作業を要するわけではないので記号にさえなれれば、簡単になるかなと思うのでぜひ職場で試してみてください!
※記号や書き方は全て記憶する必要はないです。
実際もどのように表現すればいいかを検索しながら可視化していきます。
BPMNを書くメリット
ここまでBPMNの説明や書き方を見ていました。
このBPMNですが可視化することで以下のようなのメリットが生まれてきます。
可視化することで業務フローの把握や改善ポイントがわかりやすい
業務フローに関わる関係者やシステム、データがわかるため影響範囲を考えやすい
ドキュメントとして残せるので属人化しない
可視化することで業務フローの把握や改善ポイントがわかりやすい
まず1つ目のメリットは”可視化することで業務フローの把握や改善ポイントがわかりやすい”ということです。
今まで書いてきた通りBPMNを書けば誰がどのタイミングで何をするのかが整理されます。
その運用を眺めるとやたらと承認などでエスカレーションが生じていたり、
ツールなどでまとめて処理できそうな部分というのも自ずと見えてくることが多いです。
例えば以下の図のように顧客からの問い合わせがあったときに人手で各部署にエスカレーションして確認する状態になっていたとしたら明らかに業務フローの効率が悪いことはわかります。
改善の仕方はさまざまありますが、可視化されていない場合、この構造に気づかず、ずっと改善されないといったことが生じやすくなります。
しかし、逆に可視化してしまい、それを意思決定する人に見せるだけでここを直せばいいじゃないかとすんなり納得してくれることもあったりするため是非ともまだ可視化できていない場合は試してみてください。
また最近はDXという言葉も流行ってはいますが、結局は元々ある業務フローをデジタルツールを使って変えてしまおうということであるので、業務フローを可視化すればどこのフローがツールを導入することで変わるのかがわかります。
ですので、DXに関わる方にとってもBPMNは欠かせません。
業務フローに関わる関係者やシステム、データがわかるため影響範囲を考えやすい
次のメリットとしてBPMNは”業務フローに関わる関係者やシステム、データがわかるため影響範囲を考えやすい”という点です。
たまにシステムを導入したら関係していた部署と連携していなくて、業務が滞ってしまうのでシステムの稼働を延期してくださいと言ったトラブルが生じたりします。
これも結局誰がその業務フローに関わっているのかが見えていないから発生することが多かったりするので影響範囲の確認をするという点でもこのBPMNは重要となってきます。
ドキュメントとして残せるので属人化しない
最後のメリットはBPMNを作成すればドキュメントとして残ってくれるので、担当者しかわかっていないといったような属人化を防ぐことができます。
組織で働く人が永遠とその部署で同じ役割で働いてくれることは稀です。
大抵は他の部署に移動であったり、転職などをします。
ですがこの際にその人に任されていた業務がドキュメントとして残っていなかった場合、新たにアサインされた人がまた一から業務について調べる必要が発生します。
業布効率化が叫ばれている中でこういった工数は正直もったいないので是非業務フローは可視化して残していきましょう!
まとめ
今回は業務フローの可視化に便利なBPMNの書き方に関してまとめてみました。
企画・マーケティング職であっても昨今ではシステムやデジタル活用を求められてきており、業務フローをしっかりと把握することが大事になるため、ぜひ実践してみてください!
また、今回の記事以上にビジネスプロセスについて深く知りたいという方が入れば以下の書籍がオススメです(BPMNの書き方などはあまり書かれていません)。
どうしてビジネスプロセスを可視化する方がいいのかをより豊富で具体的な例を交えて説明してくれていますし、業務プロセスの整理において重要なインプット・プロセス・アウトプットの考え方をわかりやすく書いてくれています(控えめに言ってもめちゃくちゃ勉強になります)。
もし気になればぜひ読んでみてください!
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