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「個」を知ることは人間を理解すること

前回の記事の続きになります。

「ありのまま」や「自分らしさ」を受け入れるとは何か?
これについて答えるには、人間を深く理解していなければ難しいよね
ということを書きました。

ジコチュウと自分らしさを受け入れている状態
この二つには大きな違いがありますが、私は長年、その問いに答えが見つけられずにいました。

理由は、私の母に起因します。

ジコチュウで幸せそうな母のこと


自由で誰にも縛られない母は、多くの人に愛されるキャラクターなのですが、その一方で常に”ちょっとした”迷惑をかける、家族にとっては頭の痛いエピソードが漫画にしたいくらいたくさんあります。

大抵は笑いのネタになるような話ばかりですが
ネタにできないような本当に怒りで息ができないくらいの出来事も数知れず・・・。(特に悩まされているのは実家の片付け)

ADHDという言葉が世の中に出回ってきた頃、私は母がADHDではないかと思うようになりました。
本屋でADHDについて該当欄を見ていくとほとんど当てはまるのです。


ある日、母から電話があり
「ジュリ、わたしね、ADHDだと思うのよ。テレビでやっていて、全部当てはまるの!」と。

常々、忠告や非難の声は一切聞き入れない、
我が道をゆく母。

私に一理の望みが見えた時でした。

これで自分に向き合ってくれるかな?と。

残念ながら、いつものように一過性の気づきで終わってしまい、その話題はそれから出ていません。

母に

「悪気がないからといってもそんなジョークで傷つく人もいるんだよ」とか「そんなんじゃ、人から嫌われるよ」と、
最後はいつもそんな言葉をぶつけてしまっていたのですが

母は

「嫌われたっていいと思ってるのよ。しょうがないわよね。」
とバッサリ!
話題を変えたり、怒って帰ってしまったり。
友達はたくさんいますが、個人的なことに踏み入れられないように距離感を持っているようです。

そんな母を無理やり変えようとする自分もダメだと思いつつ、それ以上に

家族が困っていて、自分も困っていることがたくさんあるのにも関わらず、自分の欠点に向き合おうとすらしない母に対して腹が立って仕方ありませんでした。

自分は自分なのだから仕方がない、とすっかり受け入れてしまう母は、罪悪感とか自責なんて程遠く、ちょっと時間が経つとハッピーモード。

どんなに喧嘩をしても、調子良くユーモアで乗り切り、
周りを笑わせている母の良い面もたくさんあるので、
私は長年にわたり複雑な気持ちでいたのです。


母のことだけを取り上げましたが、実際には私自身も、母の生き写し。
忘れ物、遅刻、失言と人に迷惑をかけて生きてきました。

ただ、違うところは、私は自責の念がいつもあり、それをまともに受け入れてしまい、眠れない夜を過ごしたり、
死にたくなるほど葛藤してきたところです。

母に振り回される兄弟たち。
母にとっては幸せでも、周りは迷惑なのですが、それも受け入れなくてはいけないのでしょうか。
もっと私たちが寛容にならなければいけないのでしょうか?

自己受容・他者受容ってそういうこと???

支える方は結構キツイのよ

対、自分の子育てでは、親が変わらなければ子どもの問題はどうにもならないことを経験してきました。

息子の発達特性、かかわりの難しさを通して発達や脳のことを学び、【個】というものの複雑さ、多様さを体系的に理解していくと、私にってはラスボスである母のことも理解ができるようになってきました。

ジコチュウというのは、自己理解が浅い状態のこと。

ジコチュウは、自分を受け入れているようで、実は「見たくないモノには蓋をして」見えていない状態、つまり

非常に浅い自己理解を土台に生きている、とも言えるのではないでしょうか。裸の王様みたいですね。

ちょっとした指摘にも腹を立てたり、言いワケをして逃げようとします。


ありのままを受け入れる、というのは
強みと弱みの両方をきちんと理解している状態の上で
自己を受容をしていること。

強みだけではなく弱みにもきちんと
向き合っている結果であると思います。

多用される「自己受容」とか「ありのまま」「自分らしさ」という言葉は、それほど簡単に説明できない複雑なものです。

さて、母の困った面ばかりを伝えましたが、チャーミングで愛情深い愛すべき人です。
母は特性のゆえに困った行動も多いのですが、それをカバーする愛嬌があります。

そんな彼女の「素」は、母をまるごと愛してくれた父親(私の祖父)の存在があったから。88年間、自己否定せず有り余る生きる力は祖父が注いだ愛情の効力かなぁ。

自己受容、自己肯定、自己効力など
いろんな心理的概念がありますが、それらは互いに補完をしあいながら、経験を通して育まれ、自己は成長していきます。

複雑な「個」を理解するって、言葉で言うほど簡単ではないですよね。

私はdaremogaとは別に「まるHUGファミリー」という個人の事業があり、主に「アファメーションスキル講座」というものを行なっています。

「子どもの自己理解を促し、自己受容ができるようになり、最終的には自分に対する信頼感、期待感が持てるようになることで自律・自立する」ことが目標です。


daremogaでは、人が持つ複雑な「個」を発達の視点から考えます。

その「個」の見方について、一緒に活動する長岡ゆかさんから非常に多くのことを学んでいます。

現在、国家資格で発達専門の作業療法士、長岡ゆかさんと二人三脚で活動をしています。
ゆかさんは、日本ではものすご〜く希少な発達専門の作業療法士として子ども(大人)の「体」と「発達」を支援の土台としています。

(◯◯士ってすごく多いじゃないですか。理学療法士、言語聴覚士、作業療法士・・・メモリー不足の私、なかなか覚えられなかった)

見た目は可愛らしくて、話し方もおっとりした女性。
会議でもビジネスっぽい話の時にはスンとして口数少ない・・・


でも

ひとたび子どもの発達や幸せ、個性などについての話題なると
【OT職人】に変わります。(OT:Occupational Therapist 作業療法士の略)

「私は、人を枠にハメめようとする考えとか行為がどうしてもダメ、というか許せないんです。だから、一人一人の【個】を知ることの大切さを大事にしたい」

という彼女の強い想いは、そのまま団体の想いとも重なっています。

現在は関東圏のフリースクールの40名ほど教員方の研修を行なっています。1年という長い期間、研修をさせていただいておりますが、研修の目的は先生方に「子どもたちの個を見る力」をつけていただくことで、多様な児童生徒への対応を自信をもってできるようになることです。

集団の中で、どう一人一人に向き合うか、というのは個性的な子どもたちが集まるフリースクールでは大きな課題ですよね。

最初は懐疑的な雰囲気もチラチラ感じていた研修でしたが、進んでいくたびに先生方のフィードバックがどんどん変化していっています。

それぞれの異なる子どもの問題行動や課題にどう対応したら良いのか、という以前からある問いに対して、「子どもの課題の背景」から考える視点が加わってきました。

この「個を見る力と大人の関わり」の研修がいろんな事業所や園、学校、塾などに届けられ、支援者も子どもも、保護者もみんなが生きやすい毎日を過ごせるお手伝いをしたいと思っています。

具体的にどんな内容を教えているかなど、今後記事にしていきたいと思います(フォローいただけたら嬉しいです)

長い文章をここまで読んでくださってありがとうございます!!

母の面白エピソードも箸休めに書いていこうかな。(漫画にしたい)


4月daremoga講演会!4月20日(土)9時半〜
見逃し配信付き!子どもの感情の理解と親(おとな)のかかわりー講師:感情の発達に詳しい臨床心理士、青木絵理先生


この記事を書いた人
daremoga代表 ジュリ

【発達障害支援コーディネーター、国家資格キャリアコンサルタント、夫婦のためのつきっきり子育て支援「まるHUG@FAMILY」代表。
クリスチャン。友達作りが天性、時々英会話講師、夫婦カウンセリング、発達凸凹カウンセリング、子育て世代のキャリアを応援するライフデザインカウンセラー】

任意団体 daremoga について

みんな違ってあたりまえ!
子どもを支えるすべての人が理解し合っている協力協働の輪(ループ)で
世界で一番子ども時代を幸せに過ごせる社会を目指します。

家庭と支援者同士のGood Loop(好循環)を創り、困っている親子を支援の輪で支えることをミッションとしています。


現在の活動
フリースクールの保護者向け講演会、オンライン勉強会、職員研修、知育教室での定期勉強会など必要にあったオーダーメイド型のコンテンツを提供しています。

保護者も当事者の子供も、支援する側もみんなが笑顔になる
社会の好循環(Good Loop)を生み出していきます!


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