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完結済み長編作品

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記事一覧

小説⑭

「長方形の傷跡だが鑑定したところ、被害者の家に置いてあったトロフィーと一致したそうだ。あれが一つ目の凶器だ。」と犬飼。

小林は飲みかけのコーヒーを溢してしまった。

「え?栗林さんも共犯って事ですか?」

「いや、そうじゃない。栗林にもれっきとしたアリバイがある。別居してからすぐに浮気を疑ったそうだ。会ったときは誤魔化していたがあの涙も嘘泣きだろう。本当は旦那を殺せて清々しているのだろうと思う。

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小説⑦

***

場所は変わり

被害者の殺人現場に三人は到着した。

「シンプルな部屋だな」と橘は言いつつ、リビングに

向かいご遺体を観察する。棚の上には何個か花瓶が

置いてあり、1つは割られていた。

被害者と犯人が争った後だろうか…

ご遺体の後頭部には長方形の傷跡がある。

背中には大きな刺し傷があり、この傷が致命傷になっ

たと思われる。

第一発見者は同じ会社の同僚の林将吾。

無断欠席が

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小説⑥

「とらちゃん、ドーナツ出来た?」と無邪気な笑顔を向

けてきた、橘。小林は少し照れながら、その笑顔はず

るいです…と小さく呟いた。

僕はこの人の笑顔を守りたいと思った。

「出来ましたよ、修さん」

小林と橘がテーブルに向かうと、榑林が椅子に座り

捜査資料を広げていた。

「被害者の名前は、畑中明人28歳。大手企業の社員

だそうだ。」

「ふーーーん。殺害現場は、被害者の自宅か、

凶器は

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小説*⑤

犬飼が
「おいおい、お前もおじさんだろ、ほらおじさんが

ドーナツ買ってきてやるから」

「嫌だ!俺はとらちゃんのドーナツが食べたいんだ!!

俺の頭はたくさんの情報でキャパオーバーを起こして

いるし、疲れていて糖分が足りていないんだよ…

とらのドーナツは……」と一気にまくし立てると

すー…すー…と寝息が聞こえてきた。

この状況で寝るか???と二人は思ったが、ソファの下に

は大量の新聞や

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小説*④

中性的な顔立ちでよく女の子に間違えられる事のせいで過去にトラウマがあるが、

そのトラウマを受け入れて親しくしてくれている人物が橘修一と

犬飼蓮司だ。

呼ばれていたので、はーいとリビングに向かうと、

犬飼刑事と橘が睨み合っていた。

「二人ともどうされたのですか?」

と聞くと、橘が

「あーやっと、とらちゃん来たー!このおじさんうるさくてさ、

俺は気持ちよく寝ていたのに、起こされるし」と

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小説*③

恋人はいるのかと聞いたことがあったのだが、ふっとニヒルな

笑顔を浮かべてくせ毛を掻き毟りながら、

「まぁ、前に彼女がいたことがあったけどな…自殺したんだよ」

と言われ、僕はそれ以上深く聞けないでいた。

あまり、たくさん喋る人ではない、甘党でドーナツをよく食べる。

聞き上手で愚痴も相談も乗ってくれる。

すぐにふらふらとどこかに行ってしまう事がある。

「恋人作らないのですか?」と聞くと

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小説*②

小林虎人 視点

僕は呼ばれた事に気づかず、冷蔵庫の中身を確認していた。

すると犬飼が僕の顔をのぞき込んでいた。

「あぁっ!犬飼警部!!びっくりしましたよー!どうかされましたか?」

「君の付き添いが呼んでるぞー」

と言いながらニヤニヤしている。

「付き添いは修一さんじゃなくて、僕なんですけど…わかって言ってますよね」

と苦笑いする。

僕こと【小林虎人】はマイペースなおっとりとした性格

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小説*とある日々の戯言①

小説*とある日々の戯言①

***

とある神保町の片隅にそのビルは建っていた。

ビルというよりは一室が住居になっている事務所。

ソファとテレビと冷蔵庫や日常生活に必要な家財道具が一式

揃っており、南向きの窓があり、日当り良好。

***
橘修一目線

日当りのいい場所にソファが置いてあり、そこに橘修一は

寝転びダラダラとくつろいでいた。

「おーい、修一!橘修一!おーい!!」

誰かが俺の惰眠を阻止している。

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小説(処女作)

小説(処女作)

少しずつ上げていくって言ってて上げてなかったのですが
友のおかげで創作意欲スイッチ入った。(少しスランプになってた)

なので数ページずつ書いていきます。
小説の時はタイトルに小説って書いてタグを付けたらわかるのかな?

↓↓↓

俺は悪くない…
こいつが悪い、全部こいつのせいで俺は…

俺は自分の脳内にうるさいほどその呟きを叩き込んだ。

散々俺のことを見下してこき使いやがって
前々から計画して

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