小説*とある日々の戯言①
***
とある神保町の片隅にそのビルは建っていた。
ビルというよりは一室が住居になっている事務所。
ソファとテレビと冷蔵庫や日常生活に必要な家財道具が一式
揃っており、南向きの窓があり、日当り良好。
***
橘修一目線
日当りのいい場所にソファが置いてあり、そこに橘修一は
寝転びダラダラとくつろいでいた。
「おーい、修一!橘修一!おーい!!」
誰かが俺の惰眠を阻止している。
「んー、むにゃ。何だ…一体」
気だるい体を起こし、目を開けると、警部の犬飼蓮司が困った
顔で立っていた。
「お前さんが待ちくたびれてダラダラと惰眠をむさぼっていたか
らお越しに来たのだよ。事件だぞ、探偵」
橘はむくりと起き上がり辺りを見渡す。
さっきまで雑多になって散らかっていた部屋が綺麗になっている。
「小林くーん、小林虎人くーん」
小林虎人は音楽を聴きながら掃除をしていた。
掃除と料理が好きな学生。
***