小説*⑤
犬飼が
「おいおい、お前もおじさんだろ、ほらおじさんが
ドーナツ買ってきてやるから」
「嫌だ!俺はとらちゃんのドーナツが食べたいんだ!!
俺の頭はたくさんの情報でキャパオーバーを起こして
いるし、疲れていて糖分が足りていないんだよ…
とらのドーナツは……」と一気にまくし立てると
すー…すー…と寝息が聞こえてきた。
この状況で寝るか???と二人は思ったが、ソファの下に
は大量の新聞や本が散乱していた。
犬飼警部は
「こいつはストイックだからな」とぽそりと呟き
散乱した新聞や本を片付け始めたので、僕はドーナツ
を焼くことにした。
しばらくするとドーナツが焼けてきたので、僕は
修一さんを起こそうと思い、声をかけた。
すると修一さんの目からぽろりと涙が流れていて、
「みさ…。」と呟いていた。
前の彼女さんの名前だろうか、僕は心が痛んだ。
思い切って修一さんを揺さぶって起こしてみた