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気づいてしまった「雪かき」という政策
ここでは、札幌市の雪かきの歴史を振り返ってみたい。そもそも、昔は今のように除雪車や排せつトラックなんてなかったはずである。どうやって街を管理していたのだろうか?
ここに札幌市建設局土木部雪対策室計画課が発行している『さっぽろ雪の絵本』というリーフレットがある。「みんなの声でつづる、雪対策ストーリー」と副題がある。札幌市が40年間耳を傾け続けてきた雪対策の内容と、これからの40年間すら語ろうとして
「生活レベルを変えられない」問題
屯田兵入植の頃から「除雪当番心得」(1876年)が定められたり、「踏雪取締りと搬出法規制」(1888年)で除雪が義務化されたりなど、決まりとしての整備はありましたが、基本的に除雪は厳しい北国の冬を「みんなで乗り越えるための助け合い」及び「自主的」な努力でした。
それが、進駐軍の除雪機をきっかけに、オリンピックで町が整備されていく大きな力と共に今まで思いもしなかった「機械除雪」というコペルニクス的
自分で解決できないことへの不安
2021年度の大雪はすごかった。
12月18日の24時間降雪量は1999年の統計開始以来最多、55cm。しかも、2月6日にさらにそれを更新する60cm。2月下旬に積雪深が129cmにまで達したとたんに気温が8度まで急上昇し、今度は溶けて崩れた雪で道路がふさがる…という弱り目にたたり目の雪害の年でした。
札幌市に寄せられた「要望・苦情など」件数は7.5万件。これは過去に最高だった平成24年度の4
高齢化する雪踏み世代と除雪ありき世代のまちづくり
クレームや、要望という名の不満があふれてしまうのは自力で対応できないことに対する「不安」は確かに心理的理由ではあるが、ここでは今まで見てきた札幌市の「除雪の歩み」を前提に他の理由について考えてみたい。
札幌市のみならず、雪国で雪かきをするのはご高齢者の姿が多い。在宅していて、降雪のたびにすぐ対応できるし、明るく目につく日中の内に除雪をするのは、やはり在宅しているご高齢の方々で、働き盛りの世代は週
ある小さな除雪業者のおはなし
札幌市の道路維持除雪業務を請け負う業者は毎年入札で決められるが、その他にも有料除雪実施業者として市に登録していたり、ホームセンターや大手除排雪受託業者の下請け、孫請けとして無数の業者が冬になると除排雪を請け負っている。もちろん、独自ルートで一部企業や地域と除排雪専任業者として契約しているところもたくさんあるだろう。
急増する除排雪ニーズに対して、供給側がどのような体制なのか、全体的なデータを調べ
街とお客さんと除雪業者のつながり
市内の現場に到着するとそこはお洒落な花屋さん(http://deskk.jp/)だった。取材で写真を撮らせてもらうのでドアを開けてご挨拶に伺う。
「本当に丁寧にしてくれて感謝してるのよ」と花屋さん。「とにかく真面目な方なのね」と一枚の伝票を見せてくれた。ホームセンターとの契約で、作業が終わった後にのこすことになっている業務伝達メモだった。
「基本排雪量を最大積載しましたが、残りました。次回に繰
もちつもたれつ―自助自立―
北友舎さんを取材させてもらった中で、とても印象深い現場があった。
そこは閑静な住宅街地域で、市街地へのアクセスも山や自然公園と言った自然環境へのアクセスも程よく、古くからの住宅や、世代交代で建て替えたであろう戸建てが立ち並ぶエリアだ。一見すると住宅と住宅の間は密接で、雪捨て場を確保する余裕はあまりなさそうだ。
すでに岩瀬社長がショベルで雪山を崩している。道の両脇から住民たちが家族総出でスコップや