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自分で解決できないことへの不安


2021年度の大雪はすごかった。

12月18日の24時間降雪量は1999年の統計開始以来最多、55cm。しかも、2月6日にさらにそれを更新する60cm。2月下旬に積雪深が129cmにまで達したとたんに気温が8度まで急上昇し、今度は溶けて崩れた雪で道路がふさがる…という弱り目にたたり目の雪害の年でした。

札幌市に寄せられた「要望・苦情など」件数は7.5万件。これは過去に最高だった平成24年度の41577件の1.8倍にまで上ります(第1回札幌市大雪対策検討会議資料2)。

各市町村をつなぐ峠道や高速道路が通行止めになり、JRが終日運休。JR北海道の職員が手搔きで暴風雪の中雪を運ぶ姿が全国に中継されました。いざ、除雪したくても降る雪の量とスピードに対して圧倒的な人手不足、パワー不足。道がふさがれてごみの収集が出来ず、ゴミが数日放置されたままの様子を見たのは初めての経験だったかもしれません。

コロナ禍で得た経験値として、リモートワークや時差出勤への対応ができる方々もいたことが伺えますので、もしこれがコロナ禍を知らない私たちだったら、その混乱ぶりたるやいかほどのものだったろう、と思います。

テレビやネットニュースなどでも困り果てている市民の姿が多く取り上げられました。ネットのコメント欄を見ると「救急車が来たらどうするんだ」「もしこの状態でコロナ罹患者が急変したら…」「火事とか絶対無理」など、更なる危機を想像して不安がる人も多く見受けられました。

この「不安」が厄介です。不安は「漠然とした予感」にしかすぎません。これが,目の前で直面している噴火や地震なら、とにかく「逃げる」という行動に移せます。しかし、「不安」というのは「まだ何もできない」ことが多いのです。除雪を行政サービスとして、もしくは業者に賃金を払ってシーズン契約で享受するようになった市民は、ただ信じて待つことしかできなかったのです。

コメントには、「除雪作業にあたっている人は何日も寝ないで必死だよ。」「自然の猛威を相手に社会を回そうと頑張ってる方々に感謝」などの文言も見られました。多くの市民の中には「仕方がない」という思いもあったでしょう。しかし、信じて待っていた分、なかなか除雪されない、もしくはせっかく除雪車が来たけど道路の片側だけだった、家の前に大きな雪塊を置いて行かれた、となれば「裏切られた」という気持ちが沸いてしまい、「なぜ、どうしてうちばっかり!」というような怒りのクレームへと発展してしまう心理は想像できるのではないでしょうか。


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