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オリジナル小説『白刃の女神』

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オリジナル恋愛長編小説『白刃の女神』です。全編十三部構成で、第一部は試し読み程度の文字量に分けてあります。
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#小説

白刃の女神(第十三部 エピローグ)  終

 去年の夏は例外にして、たいてい夏休み明けの登校は楽し いものだ。もし、気に病むようなこ…

大吉
6年前
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白刃の女神(第十二部 お泊まり会) 後編 第十二部完

 彩香はそのままご飯を作るということで台所に連行されて いった。僕はというと、もう一度名…

大吉
6年前
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白刃の女神(第十二部 お泊まり会) 中編

 久しぶりにやった枕投げは私の負けだった。途中、愁が私 に加勢してくれたが、爽香は強かっ…

大吉
6年前
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白刃の女神(第十二部 お泊まり会) 前編

 こどもはとかく、危険なことをしがちである。彼らは無鉄 砲で、大胆だ。何かをなすためには…

大吉
6年前
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白刃の女神(第十一部 魔法使い) 後編 第十一部完

 身支度を整えて、おじさんとおばさんとどこに行こうか あれこれ考えていると、訳の分からな…

大吉
6年前
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白刃の女神(第十一部 魔法使い) 前編

 ある土曜日の午後。私は日差しを嫌って、お部屋で涼んで いた。ラジオから聞こえてくる名も…

大吉
6年前
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白刃の女神(第十部 戸惑い) 後編 第十部完

 どれだけ早く走ろうとも、赤ん坊らは僕を追い立てた。生 まれて間もない赤ん坊が、この僕を。  僕はどこにあるとも分からない非常口をとにかく探して回っ た。それでもやはり見つからなかった。赤ん坊のみならず、 警備員や看護士、それから突き飛ばした人たちとその関係者 までにも追われて、僕はほとほと疲れはてた。  白く延びた廊下の隅で、忘れ去られたような古ぼけた部屋 を見つけた。迫りくるあの音に苛まれて、僕は祈るようにそ のドアを開けた。  ドアは僕の胸をかきむしるような音を立てて開

白刃の女神(第十部 戸惑い) 前編

 忘れかけていた声があった。人混みの中にいると、ふいに 一言だけ、見知らぬ人の声が際立っ…

大吉
6年前
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白刃の女神 (第九部 先輩) 後編 第九部完

 突然、ドアが開いた。開けた本人は突然の眩しさに目を眩 ませているようで、目を細めて周囲…

大吉
6年前
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白刃の女神(第九部 先輩) 前編

 恐らく、誰もがそうであるように困ったもので、一年の間 には何度も悩む日が訪れる。今日は…

大吉
6年前
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白刃の女神(第八部 夏休み)後編 第八部完

 僕は自室に戻ると、窓を開けた。締め切った室内は熱がこ もっていて、とても重苦しかった。 …

大吉
6年前
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白刃の女神(第八部 夏休み) 前編

 8月に入ってすぐに登校日があった。解き放たれたばかり だというのに、幼児のように甘えん…

大吉
6年前
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白刃の女神 (第七部 休息) 後編 第七部完

 僕は自室に戻って、ベッドに寝転がった。  「ごめんな? ホント」  「……別にいい」  …

大吉
6年前
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白刃の女神(第七部 休息) 前編

 今年の誕生日は人生で最悪だと思った。日付が変わって飛び 込んでくるのは友達のメールばかりだ。気の利かない友達は電 話をよこしたが、その後、何度問い合わせをしてもメールはこ なかった。  結局、一時間経っても、愁は何ひとつ便りをよこさなかった。 私は腹がたって、あいつに電話してやろうかとも思ったのだが 覚えていなくて当然だとも思った。私は一度も愁に誕生日を教 えていないのだから。ただ一度、誕生日の日にクラスのみんな が黒板にメッセージを書いてくれたことがあって、その当時、 同