白刃の女神(第十一部 魔法使い) 前編
ある土曜日の午後。私は日差しを嫌って、お部屋で涼んで
いた。ラジオから聞こえてくる名も知らない音楽たちが、風
鈴のように私を心地よくさせてくれる。
クッションに座ってうとうとしている私の前に子猫が一匹。
テーブルの上に置かれたグラスをじっとみつめている。
――なにを考えているのかしら。
「ねぇ、何しにきたの?」
私はそのちょっと苦手な子猫に尋ねてみた。
「……別に用はない」
子猫はちょっと拗ねていた。
――困った気ままな子猫さんだとこと。用もないのに、私
に会