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真昼なのに昏い部屋/江國香織
裕福な家で専業主婦をしながら、大きな不満もなく真面目に生きてきた美弥子さん。
そんな彼女をアメリカ人のジョーンズさんが気に入り、フィールドワーク(デート)に誘い、それを繰り返す。
2人は小まめに会うようになり、最初は体の関係がない清い付き合いだったが
やがて不倫関係になる。
この小説の怖いところは、ジョーンズさんが美弥子さんに惹かれてアプローチしていたものの、「結婚したい。」とは思っていないこと(そもそも別居中だが、ジョーンズさんには家庭があるし、妻に離婚の意思はない)。
美弥子さんも結婚生活に不満はなかったわけだし、ジョーンズさんに惹かれつつもそれが恋とは認識していなかったし、一線を超えようとはしていなかった。
旦那さんがあんなことをしなければ、きっと美弥子さんはジョーンズさんと友達のままで、一線は越えなかったと思う。
男性は手に入れるまでが必死で、手に入れたら女性を扱い
女性は逆に体を重ねると惹かれてしまいがちだ。
ひろちゃん(旦那)よりジョーンズさんの方が素敵だが、それはあくまで恋愛だったらの話で、最後のページを見ると、美弥子さんの決断や選択は正しかったのかは分からない。
これからが幸せかも分からない。
結末はハッキリ書かれていないし
なんとなくではあるが
多分美弥子さんは、世界から出ない方が幸せでいられた。
私はそんな気がする。
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