正しく報告・連絡・相談するのは案外難しい
社会人は報・連・相(ホウレンソウ)が大事である。社会人でなくてもホウレンソウというのは大事な考え方だ。では的確なホウレンソウってなんだろう。ホウレンソウが的確に出来る出来ないは学歴云々とかではない。言うべき内容を意識してしているか否かの違いだ。
前提
ホウレンソウをするにあたり、必ず押さえるべきポイントがある。ホウレンソウはそれに従ってやるだけである。
(1)目的は何か:何をどうしたいために
報告する相手は自分よりも報告内容に詳しくないし前の話も覚えていないので、「何の話」をするか最初に必ず述べる。
(2)どういう状況:前回の報告からどこまで到達し(過去)、今は何をしている最中、今後の見通し。
決着がついた事・片付いたこと、それによってどういう理由でどのような決断が下って今に至るか、今後のターニングポイントはどこか。
(3)何がキーワードとなるか:問題点や注意事項・条件、具体的な数字。
現在や今後の不明点、今後起きうる問題。日付、時間、金額、人数、などのうちどれが確認済みでどれは未確認なのか。
職場が移動することになった。自分は配送担当だとする。
<ホウレンソウで必要な項目>
(1)目的は何か:職場の引越しのために
(2)どういう状況:引越しに関して進めている。
引越し業者を選定している、候補は何社ある、◯◯日までに選定を終えて相談する、引越し業者に連絡して返答待ちです、各社から見積もりがでた、みんなに周知する、実際の引越し。
(3)何がキーワードとなるか:具体的な数字
期日、金額、荷物の量と質、金額を決めるファクター
報告
相手は何を知りたがっているか。
相手が違うと知りたい内容は違う。
「どこまで進んだ?」と上司に聞かれたら、予算を決める人に聞かれたら、同じ配送担当の仲間に聞かれたら、違う担当の同僚に聞かれたら、友達に聞かれたら、家族に聞かれたら、答えは全て違うだろう。
配送に関して裁量権がある上司が「どこまで進んだ?」と聞いてきた場合、
(1)職場の引越しに関してですが、
(2)引越し業者の各社の見積もり依頼し(過去)、2社から返答があり(今)、3社からの返答待ちです(今後)。
(3)来週中にどの会社に依頼するか決める必要があります。
「返事がきた2社は何て?」と聞いてきた場合、
「A社の金額は〇〇で最安値ですが、◯◯という条件があります。B社の金額は◯◯でA社より高いですが、条件は◯◯だけです。その他3社にも見積もりを依頼しましたがメールの返答がないので、今週中に再度連絡する予定です。」
連絡
自分は相手に何を伝えたいか、何を理解して欲しいのか。
同僚に引越しに際して各自やって欲しいことを連絡したい場合、
(1)職場の引越しに関してですが、
(2)引越し業者は〇〇に決まりました。
(3)〇〇日に梱包用品が届き、〇〇日までに各自梱包を終わらせてください。その際の注意事項は、〇〇です。
相談
相談相手に何を求めているのか。自分は何に困っているか。
何を解決したいかを具体的に述べる。それを判断するために必要な情報を全て集める。集まっていないものは、確認中と述べる。
(1)職場の引越しに関してですが、予算に関してご相談があります、〇〇に関してよくわからないのでご意見を伺いたいです、前回の職場引越しの時に〇〇をどうしていたか教えて頂きたいです、判断が難しいです。
(2)A社の金額は〇〇で最安値ですが、しかし◯◯という条件があります。B社の金額は◯◯で2番目に安いですが、条件は◯◯です。その他3社にも見積もりを依頼しましたが返信待ちです。
(3)当初の予算では〇〇でした、〇〇の搬送に対応しているのはB社だけで追加料金が〇〇かかるようです。残り3社は返事待ちです。予算はどれくらい厳格なものなのでしょうか。
ホウレンソウは意識的に高頻度でしておく
相手がわかっているかもしれなくても、わざわざ言う必要がないと感じていても、意識的にホウレンソウをちょくちょくする。わざわざ声を掛けに行ったりかしこまらなくても、偶然会った時にでも少しずつ話しておく。
それだけなのにメリットはたくさんある。
・自分が相手に声を掛けやすくなる。話しかけやすい関係性は大事だ。
・問題が早めに解決する。ホウレンソウが遅くなり後手後手になったり、後から大きな軌道修正をしなければいけなくなるリスクが減る。
・相手に安心させる。「自分は何かあったらすぐホウレンソウをしてくる」と認識されることで信頼されやすくなる。
・手間がかかる人の方が親近感が沸く。何考えてるか全然わからない無口な全く誰にも相談しない部下よりも、よく相談してくる部下の方が何だかんだで可愛げが湧いてくる。
・相手が自分と話すことに慣れる。自分のキャラクターを知ってもらうにも有用だ。
ホウレンソウを頭の中で一回やっておく
ホウレンソウは相手に理解されないとする意味をなさない。どうやったら自分の状況を理解されるか、頭の中でイメージトレーニングをする。自分が把握できていないことを相手に把握してもらうのは至難の技だ。
自分が全てを把握できていないのなら、どこまで把握できていて、どこまで把握できていないかの線引きをする。自分が把握できてないことはどうすれば、誰に聞けばわかる、いつになったらわかるか。
頭の中でホウレンソウをスラスラ言えない場合、情報が足りない事、質問されるであろう事はその瞬間に調べるかメモしておく。メモしておいたものは後で必ず調べて潰しておく。
ちょこちょこホウレンソウをするようになると、ホウレンソウのイメージトレーニングもよくやるようになる。すると、物事を進める時からホウレンソウを意識して仕事をするようになる。プロジェクトはより円滑に進み、前よりもホウレンソウへのストレスが減る。
される側は、ホウレンソウをさせ易くする努力
ホウレンソウすること自体がスムーズであれば、何か問題が起きかけていたりするのが早めに解決できるからだ。そのために筆者が心がけていることがいくつかある。
・6割できたところで現状を報告するよう、何度もいう。何か不明点や難しいところがあって作業が止まってしまい、時間もかかり、「そこまで時間がかかったなら完成度をあげてから報告しないと」という心理が働く。しかしどうやったら進むかわからないから腰も重い、また時間がかかってしまった。でも何一つ進んでいない、、、。という心境がある。6割の結構未完成の段階で問題が解決したら、次の段階の6割で報告したら、どんどん進む。
・ちょっとでも手が止まったらすぐ連絡をするよう、何度もいう。相手にとっての質問の閾値を下げるため。手が止まっているということは、本人にとって何か難しいことがあるのだろう。しかしそれは熟練者からすると何の問題もなく解決方法を即答できることが多い。
・毎週同じ曜日に進捗を聞く。2週間に1回だと物事はポンポンいいリズムでは進まない。毎週同じ曜日に進捗や問題点を聞いてくる上司がいたら、嫌でもホウレンソウを準備するようになってくる。
まとめ
意識して有効なホウレンソウをするよう心がけているかいないか、それの繰り返し。ホウレンソウをうまく使って、うまく渡っていく。