博士号取得にかかった費用:2500万円以上

数年前に博士号を取得して大学院を卒業した。入学前から膨大なお金がかかることを知っていたが、それだけ投資しても博士号を取得して本当によかったと思う。しかしほとんどの人にとってはその価値はないことが多い。

博士号(PhD)とは

・大学を卒業した人が得られる称号は学士
・大学院の「修士課程」や「博士前期課程」を卒業して得られる称号が修士
大学院の「博士課程」や「博士後期課程」を卒業して得られる称号が博士(博士号)。

博士号は、過程博士(甲)と論文博士(乙)という2種がある。
・大学院に入学して博士論文を学位審査に合格して学位取得(過程博士)
・大学院には入学せずに学位審査に合格して学位取得(論文博士)

甲と乙があり甲の方が格上と言われているが、はっきり言って取得後は全く差がないし誰も気にしない。


学位取得にかかった費用:2500万円以上

筆者は大学院に入学して博士号を取得したので、かかった費用は
(学費+その期間に稼げなかったお金)×在籍年数である。

在籍年数が増えると費用が増えるので最短で卒業した。大学院入学前はそこそこ稼いでいたが、校則により大学院に入っている期間は正社員として働くことができなかった

大学院を卒業するまで正社員として働けないことの損失は大きかった。その結果が2500万円以上である。しかしこれは大学院に集中するために年単位の時間を買ったという認識で、実際そこまで投資してもこの選択をしてよかったと思っている。


そこまでお金を投資して博士号をとる価値があるのか

特殊な状況ではない限り、ほとんどの人には価値がないのではと思う。
特に筆者の業界では、博士号の有無と給料は一切関係ない。そのため、希望する人しか博士号を取得しようとしない。完全に、おまけの学歴である。

しかし給料以外には関係してくることがある。例えば、出世したり、何かいいチャンスが回ってくるためには博士号を持っていることが必要条件であったりする。それらに興味がない人は、博士号取得という回り道をせずにガンガン稼いだ方がいい。


なぜ大学院に入学したか

過程博士を取得した上司3人から別々に、筆者は大学院進学に向いているからと大学院進学を勧めてきたからだ。当時の筆者は、「社会人になって大人がわざわざ何かをアドバイスをくれた場合、1人目でまず調べ、2人目でそれを実行することを決定し、3人目で今やっていることを全てを止めて即実行する」と決めていた。

大学院には全く興味なかったが、とりあえず入試の勉強を始めた。どうしても耐えられなければ退学すればいいわけだし、退学しても筆者の経歴には何も悪影響はなかった。

筆者の場合は論文博士でも審査基準を満たしていた。しかし当時の職場の恩師に「数年間大学院にどっぷり漬かるというのはいい経験だし、あとで取り返せるから」と言われ、大学院へ入学することにした。


大学院生時代の生活

楽しかったかというと、大変だった。本当に色々と勉強になった
学生時代は、学費・生活費を稼ぐ必要があるだけでなく、必要によりまとまった額の貯金を用意しなければいけなかった。それまでに働いていた組織の長らにお金が必要なことを話し、学生の時間と遊びの約束以外の全ての時間に仕事を入れてもらった。その結果、月に30日は大学院に通い、月14日は働くことを卒業まで数年間やった

筆者は資格を持っていたので、資格を使って非正規雇用で働いていた(本業)。大学院での専攻は専門外であったので、新しい業界に入るのはそれなりに苦労をした。しかしこれが後の副業となる。


博士号を取得して何がよかったか

・博士号は取得したら、維持に何の労力もいらない。他の資格では、維持したり更新するために講習会参加や書類提出が必要なことがあるが、博士号にはそれがない。

・学歴は仕事やキャリアの邪魔をしない。築き上げた経歴は裏切らない。

・履歴書が栄える、箔がつく。筆者は自己アピールが苦手で上手に自分をプレゼンすることが下手だ。特に外国人らと比べると小学生以下のレベルなのではないかと思う。しかし履歴書に博士号が書いてあることで、書面で自己アピールができる。また形で示しにくい能力を証明するより、形で何かを証明する方が楽なことがある。

・あるラインまでの頑張りをしたという評価を受ける。博士号は誰でも取れるわけではない。時間的、金銭的、社会的、精神的に条件が整わないと難しい。博士号取得している=頑張れる人、と捉える人もいる。

・外資系で働く時に評価された。日系の組織にいた時は博士号の有無は給料に一切関係がなかったが、外資系では就職と給料が変わる

・副業で外資系に転職できた。大学院に入学する時は考えていなかったが、ラッキーが重なり転職した。その結果、筆者の人生は天地がひっくり返るような大変革が起きた。


もし他の人が博士号を取得に関して相談してきたら

一回社会に出たあとに数年間大学院に時間とお金を投資できるかどうかは、その先の目標とタイミング次第だと思う。
その人にとって明らかにメリットがあり、性格的に完遂できそうであれば勧めるだろう。しかし筆者の業界(本業)から大学院(副業)に行くことはかなり大変だ

金銭を稼げないこと、大学院が専門外であるため本業との職種が違いすぎて人間関係構築が難しい、膨大な時間を大学院に費やさないと学位審査が通らない。かなりの忍耐力が必要だし、適性もかなり限られる。辞める人も少なくはない。

また論文博士という選択肢もあるわけだし、ほとんどの人はわざわざ大学院に入学してまでのメリットはあるのかな、とかなり疑問。


まとめ

お金は後から取り戻せるけど、2500万円払っても博士号は買えない。筆者には大学院に進学してまで博士号を取得した恩恵を日々感じており、2500万円の価値があった。そういう意味では、進学を勧めてくれた上司3人のアドバイスが適切だったのかなと感謝している。

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