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創作-ショートストーリー作品まとめ

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主に短編、ショート・ショートをまとめています。
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#創作

占い - 運命

未希はこのところの自分に降りかかる不運の連続を嘆いていた。 仕事が終わると遊びにも行かずショッピングもせず同僚と飲みにも行かず、ただ家を目指して歩みを進めるだけだった。 帰宅するとすぐに自分の部屋に閉じこもり、一体どこで歯車が狂ってしまったのかと不運の原因を考え続け、ただ悶々として過ごすだけだった。 しかしいくら考えても、こういうことについて原因なんて分かるはずもなかった。たとえそれが分かったとしても、不運の連鎖の解決策などすぐに見つかるわけではないことも未希には分かってい

酒飲みが上手な先輩

大学時代の先輩に、酒を飲むのがとても上手い人がいた。酒を飲むのが上手いって...、何だかおかしな表現だと思うかもしれない。しかし僕の中ではその言葉が一番ピッタリとくる人だった。 周囲を和ませる...、それもあるがそんな単純なことではない。ジョークや豊富な話題でその場を盛り上げるようなムードメーカー的存在でもなかった。あることを熱くなって議論するようなタイプでもない。先輩はどちらかというと、節太の手に持ったグラスを黙って傾けている方が多かった。だからと言って一人ニヒルに決め込

ペンダント - 宇宙から来た少年

乱立するビル群が影絵のように地平線に沿って張り付ていた。小高い丘の上に立ち並ぶ住宅街から眺める光景はいつも幻想的だった。 太陽は完全に沈み切っていた。しかしその名残のせいで、影絵の輪郭はまだオレンジ色の層に覆われていたが、上層へ行くほどに淡い水色からダークブルーへとグラデーションを強めていた。 グラデーションの境目で少し赤みを帯びた金星の輝きが増してきた。 太陽が見えなくなると急激に冷え込んでくるのが分かった。 少年はリュックに入っていたフィールドブランケットを取り出し、マン

マサル君

「マサル、っていうんだ。そいつの名前」 「覚えてるんですか?」 「ああ、忘れられんね…」 ジャスのBGMの音量があまり届かないバーカウンターの片隅で、マスターを相手に人生も半ばを過ぎた中年男が、このところ、その人生も少し狂いかけていることに対して一人ごちていた。 まだそんなに呑んでいるわけでもないが…。今日はペースが速い。そして、男の呂律がすでに怪しくなっていることをマスターは感じていた。 「もう一杯、同じもの!」 男は少しつっけんどんに、空になったグラスを突き出した。 「

メリーゴーランド

Y氏は遊園地の施設係員である。 客が乗り物に乗るときの誘導をしたり、チケットを切ったり、お客の列を整理したりする。彼の担当はメリーゴーランドだった。 メリーゴーランドはY氏一人でほぼ全ての作業を賄えた。 最近はメリーゴーランド目当てに来てくれる客はめっきり減った。 Y氏が若いときは、メリーゴーランドは遊園地の花形の一つだった。 今や最新式のジェットコースターやアトラクションつきのウォータースライダーやら、スリルを味わえるものにとってかわられている。 Y氏は過去に、一時違う乗

ミミとララ - ある融合の物語

ミミとララは双子だった。 そしてミミとララは……。 いくら双子とはいえ成長する過程においていつしか個性が芽生え、お互いの特徴も微妙に違ってくるはずでなんとなく区別がつくものだが、二人はあまりにも酷似していた。 体形はもちろん、髪の色も質も、目の色も、爪の形も、好きな食べ物も細部に渡って全てが一緒だった。厄介だったのは、二人が服を選ぶとき、同じタイミングで同じものを着る。 髪型も二人でいつも同じに揃えてくる。どちらかが伸ばし続けたり、どちらかが途中でカットしたりすることもなか

共存共栄

万物を創造した神々が終結し、千年に一度の総会が開かれている。 今まで自分たちが創り出したものが適正に運航しているかどうかを検討し、その中で必要なものは残し、不必要なものは消滅或いは絶滅させることを決定するための会議だった。 宇宙環境全般、惑星内の自然現象にについては計画通り順調に推移しており、このまま現状維持を通すことで全員の一致をみた。 「ところで、君の担当エリアの惑星の生物はどうなってるのかね?」 委員会の神ががその担当神に尋ねた。 「どうやら、また色々なことをやり始めて

霧の中で泳ぐ魚

霧が晴れると、魚たちは忽然とどかに消えてしまった。 それまでは悠然と泳いでいたにも関わらず、姿を消してしまったのだ…。泳いでいた場所に駆けつけてみても、魚が地面に落ちて跳ねているわけでもなかった。その場所に水辺なんて必要なかったのだ。 そこに水辺があろうとなかろうと、魚が空中を泳いでいることに何かの因果関係を見出せるわけでもないのだ。 霧の中で泳いでいる魚をもう一度見てみたい一心で、明日香は森の中をかれこれ二時間は歩き続けている。 今日で8日連続、毎朝こうやって森の中へ出向