自由な生き方の帰結「母を燃やす」
<文学(225歩目)>
予想以上に濃い作品で、考えさせられる作品でした。
母を燃やす
アヴニ・ドーシ (著), 川副 智子 (翻訳)
早川書房
「225歩目」はアヴニ・ドーシさんのデビュー作ですが、才能が光っている。次作が出たら読みます。
母娘の関係って難しい。
過干渉だと毒母になるし、無責任に放置してしまうと。。。
ここでは、自由奔放で、子供を放ったらかしで生きる母に愛されないことに幼い時から苦しんでいる主人公。
愛されないと愛することもうまくできてない。何事も手探りになるから。
ここに、母親の認知症発症をきっかけに過去と向き合う。
アヴニ・ドーシさんはデビュー作でもあり、若いから「母娘」の関係を描いたようですが、ここに「認知症」が入ると、高齢化社会の先進国でもある日本の読者にかなり突いた作品になっている。
特に、日本でのこのような作品はどこかで清潔感があるが、いろいろな香りが混濁する世界でとてもリアルであり、インドの女性の立場もあり、かなり濃厚な作品になっている。
私たちと介護にかかわる考え方がちょっと違っているが、とても興味深い。
そして読後に母に会っておきたくなった。
とても読み応えのある作品でした。
ここ最近、こんなことを考えさせられる作品が多い。
また、こちらの作品も同時におススメです。
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