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圧倒的な恐怖小説「紅の笑み・七人の死刑囚」
<文学(233歩目)>
二作品ともに、今までの読書履歴の中でも最大のインパクト。「恐怖」の感染ってこんな感じでリアリティもって表現できるものだと感じた。
特に前者の「紅の笑み」に圧倒された。
紅の笑み・七人の死刑囚
レオニード・アンドレーエフ (著), 徳弘康好 (翻訳)
未知谷
「233歩目」はレオニード・アンドレーエフさんの圧倒的な世界。
この二作品は、今までの読書履歴の中でも圧倒的な作品だと思った。
「紅の笑み」
戦場での精神を犯される圧倒的な恐怖。
120年も前の大正時代の作品とは思えないインパクト。
私には、どの戦争を題材にしたのか?わからない。
でも、この作品はどの戦争でもあると言える圧倒的なリアリズム。
ゴシック・ホラーと書かれているが、おそらく未来も変わらない戦場の真実。当時の「悲観主義」が何たるか?を見事に昇華している。
色々な作品の中で、「極限の精神状況」は描かれている。でもアンドレーエフさんのこの作品には、「恐怖」から心が徐々に浸食されているときに、どんな感覚になるのか。
これが明確に伝わる。
2025年の現在でも多くの「紅の笑み」が世界のどこかで見られているに違いない。人間を考える上でとても参考になる作品でした。
「七人の死刑囚」
「死」を受け入れざるを得ない環境になった時。
人間はどのような感覚を持つにいたるのか。
「死刑囚最後の日 岩波文庫 V.(ヴィクトル) ユーゴー」を最初に読んだ時よりも、もっと狂気を感じた。
この圧倒的な狂気はどこに起因するかと考えると、「死」を宣告されることにより、「死」が受け入れざるを得ない可視化されたものになること。
この段階で、すべての考えから、「死」以外のものが抜け落ちて剥がれ落ちてしまう感覚だと思った。
最大の恐怖による人間性の露出を120年前に描き切ったことに脱帽でした。古いが新しい世界を垣間見た感覚で、非常にマイナーな本ながら特におすすめです。
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