圧倒的な筆力に倒される「飢餓の娘」
<文学(35歩目)>
中国の層の厚さに驚き、圧倒的な筆力に倒される。
飢餓の娘
虹 影 (著), 関根 謙 (翻訳)
集英社
「35歩目」は日本的にはマイナーなのですが、イギリス人の友人からすすめられました。
どん底からの急成長で今がある中国において、階段をのぼっていくことの困難さの中から「人間」を学ぶことができます。
作者の虹影(素晴らしい名前ですね!)さんの作品で翻訳されているものはこれだけです。現在は英国在住で、発表の場はイギリスとのことですが、マルチカルチャーの良品が読める環境はうらやましい。
この作品は、まさに「たまたま」手に取ったのですが、閻連科さんを彷彿させる力ある文体で驚いた。
ノーガードでのぞむも、一気にボコボコにされた読後感です。
虹影さんの筆力に圧倒されました。読み始めると、まさに一気読み。他の作品も読みたくなります。中国には沢山の才能があることを認識しました。
「六六(リュウリュウ)」という少女が、家族の中で成長していく物語。でも、置かれた環境は日本人からすると想像を絶する世界。
おそらく、虹影さんの自伝的な要素があるのだと思うのですが、この経験を昇華させていることが素晴らしい。そして、読み込むと感じる深みには「古典神話」の世界があった。
洋の東西を問わず、そして古代現代を問わず、人間の営みは変わらず、心を揺さぶるものは国籍も年代もカンタンに飛び越えること。まさに文学の持つパワーを感じさせた作品です。
素晴らしい。
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