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「許す」(社会・家族・友人・恋人)とは「昼が夜に負うもの」

<文学(41歩目)>
無駄のない文章の中から沢山のことを心にインプットしていく。すごい才能がフランスにいました。。。

昼が夜に負うもの
ヤスミナ カドラ (著), Yasmina Khadra (原名), 藤本 優子 (翻訳)
早川書房

「41歩目」は「8歩目」の「テロル」、「9歩目」の「カブールの燕たち」に引き続き、アルジェリア出身のフランス人作家のヤスミナ・カデラさんのすごい作品。

間違いなく、先輩にすすめられなかったら、死ぬまで読むことの無かったであろう作品。「あ~、世界にはすごい才能を持つ人がいるのだなぁ」と痛感した作品です。

そして、この作品はフランスでベストセラーであったとのこと。
うーーん。読者のレベルもかなり高いなぁ。。。と感じました。

ヤスミナ・カデラさんはアルジェリアの情報将校のエリートが前歴のようです。

官僚が、多くの情報のなかから、必要情報を抽出して再現能力が極めて高い脳で処理していくのに対して、情報将校はマルチタスクでどんどん処理して、目的に合致するものを結び付けることのプロ。そんな人が小説を書くとこんな作品になるのだなぁと強く感じました。

カデラさんの作品は、プログラムの仕様を書くとすると、(if)で分岐するところに漏れが無い。出てくる事象が装飾ではなく、全て後に意図をもって出されていることがわかります。
すごい才能。。。

そして、死という現実も透過して考えられるすごい処理能力。
他の作品も読んでみたくなるすごい作品ばかりです。

この作品は、色々な登場人物が絡み合うのですが、端役がいそうでいない。
全てが役割を持っている。そして絡み合った中で、伝えたいことを伝えていく。
すごい作品です。

特にこの作品で、身近では無かった「アルジェリア」の歴史に没入しました。そして、イスラム世界から見た「社会」「家族」「友人」「恋人」の関係性から「愛(love)」って「許し」なのだなと心を突いてきました。

私は、ヤスミナ・カデラさんに惚れています。
東アジアから、「賞」をあげたいと心底思う作家です。
素晴らしいです。

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