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凍てつくシベリアの大地で、悪いクスリをキメた読後感「吹雪」
<文学(2歩目)>
難易度高いソローキンさんの作品。これはSFテイストの文学作品です。そしてかなりぶっ飛びです。
吹雪
ウラジーミル・ソローキン (著), 松下 隆志 (翻訳)
河出書房新社
いきなり「2歩目」がウラジーミル・ソローキンさんとなると、滑落必至なのですが、ぶっ飛んだソローキンさんの著作の中では最も読みやすい作品の一つです。
この作品を「文学」とするのか?「SF」とするのか?判断が難しい。
しかし、今も昔もロシアを理解する上で大切な観点である「帝国」(一つの思想のもとに多民族をまとめるシステム)の中の「ナロード」(人民・民衆)と「インテリゲンチャ」(知識階級)の乖離がテーマとなる興味深い作品です。
ロシアのプーチン大統領の統治姿勢が何故強力なのか?この一つの解がソローキンさんの文学の底流にあります(つまり、ギリギリのところを突いて、体制を暗に批判している)。旧ソ連成立以降、常に見え隠れする「啓蒙主義」(共産主義の特徴)がいきつくところに行くと、ここまで「ぶっ飛ぶこと」になってしまう。これが伝わる作品です。
それにしても、悪いクスリをきめたようなぶっ飛び方の中に、シベリアの吹雪の情景が美しく描かれていて、そこだけ読むと「シベリアの大地を舞台にした素晴らしいロードノベル」としても読める作品。
また、ロシア人から見た隣国中華人民共和国に対しての感覚も日本人にとってはとても目新しいと思う。(ロシアから見ると、中国は常に「人口大国」です)
何故に、プーチン大統領が習近平国家主席を頼るも、べったりではなく警戒するのか?も理解できる不思議な作品です。
「シベリアの大地を走る雪上車」の駆動力に注目です!(「小馬」です)
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