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中毒になるユニークな作品「ニルヤの島」

<SF(214歩目)>
死の概念が無くなることの是非。死後の世界が否定された近未来、人類の救いは何なのか?

ニルヤの島
柴田勝家 (著)
早川書房

「214歩目」は、柴田勝家さんのSF作品でもあり、文化人類学的な切り口あり。

とてもユニークな作品です。

私にとっては、この作品はハードSFの雄であるグレッグ・イーガンさんの作品に似た「考えさせられる作品」でした。

色々な読み方があると感じた。「死後の世界が否定された近未来」に着目してもいい。

でも、「日本国籍の文化人類学者」であるイリアス・ノヴァク教授の考えがとても興味深い。

「人は遺伝子のみによって生き、感じ、考え、動いてはいない」という、感情に刺さる理論を持ち出し、物語を深めている。

SF作品としての大きな風呂敷も小気味いい。整合性なんか関係なく、物語にいざなう力あり。「王の死と交代」を持ち出して、「死」がない世界を表現しながら、DNAという乗り物で次々と世代を超えてつながっていく。主体が「人間」なのか?「遺伝子」なのか?考えさせるプロットの中に、「永続性」についてとても考えさせる大きな物語。

これが偉大なゲームのような感じで続いていく。

登場人物も、RPG風味で独特のキャラが立っている。
あ~、これは柴田さんの才能だと強く感じた。
こんな描き方で切り出して、一つの物語に昇華できる人はそうはいない。
やはり名前も飛んでいるが、作品もすごく飛んでいて中毒になる。
うなりました。

一度でわからず、再読の再読。
ヤバい薬に近い感覚で、やはり柴田さんの作品は避けて通れないです。

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