ちょっとすごい短篇集で心突かれました「停電の夜に」
<文学(197歩目)>
色々な方にご紹介いただいた短篇集。やはり素晴らしかった。
これからしばらくラヒリさんの作品を読みます。
停電の夜に
ジュンパ・ラヒリ (著), Jhumpa Lahiri (原名), 小川 高義 (翻訳)
新潮社
「197歩目」は、ジュンパ・ラヒリさんの家族や夫婦の間の機微を繊細に描いた短篇集です。
ラヒリさんの文体は引き締まっていて、登場人物が浮き上がる感じです。
どの作品も故郷のインドとアメリカに暮らすインド系の方々が出てくる。
とても精緻な印象を受ける文体で、取り上げていることは胸がざわつくこと。
しかし、読み進めるとこの短篇で流れもスムーズに多くのことを表現されている技巧が光る。
「ピルザダさんが食事に来たころ」
インドからの移民二世の視線で、幼子の目から見た宗教戦争の残酷さが映し出される。
インドで切り出さなくても理解できる普遍なテーマで印象に一番残りました。
「病気の通訳」
多言語の国で、「医療体制の構築」の難しさを知ることができた。
知らない世界を知れた作品です。
「セクシー」
表題で想像したほど単純ではなかった。「知らない人を好きになること」がいろいろな状況にかかっている。
とても技巧的だと思いました。そして同様のテーマの作品の中で、鮮やかさは秀逸です。
「停電の夜に」
そして表題作ですが、人と人の「すれ違い」の描き方として素晴らしかった。
すごく描き方に無駄がない。
そしてそこから伝わることは不変のこと。
じんわり心を突いてくる短篇集です。
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