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4つの視点で人物をあぶり出す「トラスト―絆/わが人生/追憶の記/未来」

<文学(138歩目)>
現代アメリカ文学の面白さが詰まっている作品です。

トラスト―絆/わが人生/追憶の記/未来
エルナン・ディアズ (著), 井上 里 (翻訳)
早川書房

「138歩目」は、エルナン・ディアズさんの翻訳第一作です。イケます。

この作品は、最初から最後までとても興味深く読める歴史ものです。
「2023年ピュリッツァー賞受賞」とありましたが、率直にずっと没頭して読める素晴らしい作品です。

投資家(大立者)の成功の経緯の小説なのですが、切り出し方がとてもいい。

単なる成功譚ではなく、魅力的な人間像が私の目の前に来ました。
ニューヨークでの成功の軌跡、それとちょっと魅力的な妻女。

この描き方が、実験的ですが大金持ちにかかわる「小説」、本人の「自伝」(ただしゴーストライターが執筆)、「ゴーストライターの回想記」、「妻女の日記」。

この四篇(4つのアプローチ)で成功した投資家ベンジャミン・ラスクと妻のヘレン・ラスクを描く、とても手法がオモシロい作品です。

それで、とても魅力的に読ませる。
とても難しいと思います。一般的には、恐らく編集しながら4つの作品を1つの作品として出したと思うが、とても参考になると思います。

現代文学の最高峰の一つ、そして著者がアルゼンチン生まれ。その後スウェーデンに移り、ニューヨーク大学で博士号を取得した。また、英語についても、アメリカについても、「後天的」に修得した中での作品。

日本人の作家にもとても参考になる作品だと思いました。

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