「理不尽」は「子ども時代」を奪う「ボタン穴から見た戦争」
<文学(10歩目)>
ベラルーシから、「子ども時代」という貴重な時間を考えてみる。
ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ (著), 三浦 みどり (翻訳)
岩波書店
「10歩目」はナチスドイツの侵攻下のベラルーシの「子どもたち」にかかわる作品。
あらかじめ記しますが、著者のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんはロシア語圏の知識階級の方々だと、国籍関係なく読まれています。
つまり、ロシアでも、ベラルーシでも、ウクライナでも、等しく共通の話題になる現代作家(ノーベル文学賞も受賞されている)です。
この作品では、ナチスドイツ侵攻に伴い「子ども時代」を失った「子ども」からの聞き取りを丁寧に取りまとめたものです。
第二次世界大戦では、旧ソヴィエトの国々では戦死者と民間人の死亡者で22百万人を越える被害が出ている。
これは、我々日本の被害者の7倍超です。この戦禍の子どもたちの「記憶」ですから、ロシア語圏では誰もが読まれている刊行物になったのだと思う。
しかし、21世紀には、その旧ソヴィエトの構成国同志でまた戦争をしている。。。
特に、ベラルーシでは戦時にナチスドイツからの甚大な被害。そして戦後はスターリンによる粛清で多くの国民を失っている。
(私の友人は、「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」(新約聖書『マタイによる福音書』)と言うが、ヒットラーに殴られ、スターリンに殴られたベラルーシ国民の気持ちもわかって欲しいと)
すると「平和を祈念する」国民になりそうですが(国民は実際には祈念している)、「1歩目」の「理不尽ゲーム」の舞台になっています。
これって、私見ですが、「理不尽」な「帝国」の隣国での生き様としての「理不尽」の強要が唯一の生き残りの手段である世界も存在すると感じました。
「あ~理不尽な帝国の隣人とは、かくも大変な運営が必要なのだな」と思う本になりました。とはいえ、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんの作品は「家族」で読んで、色々と話せる素晴らしい作品だと思います。
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