子育て日記:心理的安全性に基づくポイント制を導入してみた話
共学共伝の会 主催の石原です。
本日は次女(小6)を中心とした体験談。
親ならわかるはず!子供のスマホ・タブレット管理問題について、我が家の取り組みとその効果について話をします。
今回の参考図書
困ったことは本に解決策が載っているってことで、今回は下記の本に記載の内容を我が家で実践した結果の報告です。
「ユダヤに大富豪に伝わる最高の家庭教育」 著者:天堤太朗
「心理的安全性のつくり方」 著者:石井遼介
全く関連性のなさそうな2冊ですが、実はうまく使うと補えるんですよ。まさに知と知の融合(=イノベーション)ですね。
まずは、ざっくりと2冊の内容を紹介します。
「ユダヤに大富豪に伝わる最高の家庭教育」
著者の天堤太朗さんがユダヤ人大富豪のジュリアスさんから学んだユダヤ式教育をまとめた一冊です。どんな時代でも食いっぱぐれない「仕事・お金。人生」の本質を見極める教育です。(表紙の言葉から)
ユダヤ人は自主性や積極性、創意工夫、チャレンジ精神を重視しており、子供が自分の夢を実現し、豊かな人生を送っていけるように、自分で考える力・自ら行動する力を引き出す教育をしている。
とても面白い話が詰まった本ですので、どこかのタイミングでゆっくりと紹介したいと思いますが、今回は「第4章 自分からやる子を育てる「ポイント制」」に記載の「ポイント制」を我が家に導入した話をします。
「心理的安全性のつくり方」
最近、会社やネットでも聞くようになってきた「心理的安全性」という言葉。かなり認知度も高まっており、皆さんも一度は聞いたことがある言葉になってきたと思います。Googleで優秀な成績を収めたチームを分析すると「心理的安全性」が重要だったというエピソードをよく聞きます。
この本の中では、心理的安全性が高いことによる効果や、高めるための行動理論等を説明しています。
私もまだこの本については勉強中であり、すぐに説明が出来るわけではないのですが、どこかのタイミングでゆっくりと解説をしてみたいと思います。
今回は「第3章 行動分析で作る心理的安全性」の中から「きっかけ→行動→みかえり」フレームワークの考え方を上記の「ポイント制」に応用した話をします。
タブレット戦争
戦いの歴史
お父さん・お母さんの多くの方が日々忙しい日常を送っている中で、結構頭を悩ませているのが、子供のスマホ・タブレット管理問題ではないでしょうか。
我が家でも類に漏れず、タブレット戦争が勃発。特に小学生6年生の次女の方が管理に手が余る状態でした。
子供が生まれたときには我々親は携帯やスマホを持っており、子供たちは生まれてすぐには携帯・スマホが身近にある環境で育ってきました。
スマホはとっても便利です。
小さい子の頼もしい子守アイテムとして、我が家でも大活躍をしてくれていました。
仕事・家事・育児と忙しい中で、子供が泣かずにお利口にスマホに夢中になっている時間にどれだけ助けられたことやら。
このままでいいのだろうかと不安になる一瞬はあれど、現実をこなしていくためには仕方ない、と言い訳して問題を先送りし目をつぶる日々。
しかし、気が付けば「スマホ依存症」という言葉が耳に入るようになり、不安を感じ始める。
ネットだけの情報では無く、リアルでも問題を抱える家庭を小耳にはさんだり、自分の子供を見るとスマホ依存症かと疑われるような状態が散見され、「どうにかせねば」と焦る日が到来。
タブレットを取り上げれば暴れるので、取り上げることも出来ない。
ルールを決めて管理しても、抜け目をすり抜けて、管理を逃れる。ひどいときは無視する。
いろんな手段を講じてもなかなかうまくいかない日々。
管理することに疲れを感じて、「子供本人の人生だから本人の責任に任せて…」と管理することを投げ出そうとすると、「スマホ依存は脳が収縮して正常な判断が下せなくなる」などと不安をあおる情報ばかりが目に入る…。
我が家でもいろんな管理方法を試したり、怒ったり、宥めすかしたり、将来の影響を語ったりといろいろやっても次女には響かず…。
次女の「だって、面白いんだもん」の感情に対して、論理的・倫理的な説明では打ち勝つことが出来なかった敗戦の日々。
救いとの出会い
そんな心折れそうなタブレット戦争の中で出会ったのが「ユダヤに大富豪に伝わる最高の家庭教育」でした。
この本の中には、子供が自分の夢を実現し、豊かな人生を送っていけるように、自分で考える力・自ら行動する力を引き出す教育が紹介されていました。
その中でも「ポイント制」に関する内容に感銘を受け、我が家に導入することにしました。
「ポイント制」の精神と概要
【精神】
➀親が子に与えるものは何もない。子供が欲しければ、親から勝ち取れ
②おこづかい制は年功序列賃金体制そのもの、日本の古い体制の象徴
おこづかい制=何もしなくても定額で与えられ、年齢とともに増えていく。
【概要】
➀お手伝い等に点数をつけて、子供が実行した内容に応じてポイントを加算する
②子供は手持ちのポイントを使って、自分のやりたいことを叶える。
私はまず、【精神】面に心打たれました。
十数年後、子供たちが社会に出ていくころには、社会はますます厳しくなっていくことを予想している中で、親から与えられることを待っているだけの受け身の育て方では、子供たちは幸せな人生を切り開けないかもしれない。
子供に自主性とチャレンジ精神を養う教育をしなければいけない。
子供のやりたいことを親が制限したり、親の希望(=将来の心配を排除したい)に合わせさせるだけでは、よくないのだと気が付きました。
ポイント制の導入
この本を読んだ翌日に家族会議を開き、ポイント制の導入について議論をしました。次女もポイント制に納得しての導入が出来たのは幸いでした。
導入したポイント制の概要
➀手伝いだけでなく、勉強、習い事などを実行したらポイントを与える。
次女が実行内容を随時提案してもよい。付与ポイントは都度相談
家族が実行してもらいことを次女に要望してもよい。
②貯めたポイントはタブレットの使用時間解除に使えることとした。
※お金のお小遣いはそのまま残すこととした。
10ポイント:1時間 30ポイント:1日解除(~21時まで)
もともと料理が好きな次女は、張り切って料理の手伝いを始めて、これを皮切りに、自分から率先していろんなことを始めました。
毎日30ポイントを貯めるように頑張って、いろんなところに家族のニーズを見つけては実行するようになった。
結局毎日、タブレットは見ているが、ポイントを貯めるための時間がそれなりにかかるので、タブレットを見る時間はあまりなさそうである。
ポイント制導入による効果
➀次女が自らいろんなことを提案するようになった。
・新たな手伝いを見つけて実行してくれる
・勉強についても工夫点について、評価(ポイント上乗せ)を求めるようになった
②家庭の雰囲気が明るくなった。
・次女との会話が増えた。以前は「あー、うん」とタブレットを見ながら返事されたが、今はちゃんとした会話が長く続く。
・親が褒めやすくなった。お手伝いをしてくれるので、感謝すべきことがすぐに見つかる。工夫した点や着眼点などを説明しいてくれるので、感心するところが多い。
➂次女は人に喜んでもらえる楽しさを味わっている(ように感じる)
・(親の願望的観察ですが)次女は感謝されたことに対して喜んでいるように見える。
ポイント制を導入してからタブレット管理問題は大幅にストレスが軽減されました。次女も喜んで参加しており、親としては管理することに気を使わなくなったので、とても気が楽になりました。
また、次女の良いところをいっぱい発見して、褒めることが出来るようになった。おかげで、お互いの信頼度が向上したように思います。
心理的安全性の追加効果
タブレット戦争が終結に向かい始めた時期に、私は「心理的安全性のつくり方」を読んで心理的安全性について勉強をしていました。とてもタイミングが良かったです。
次女が変わり始めた時期に、この変化を確固たるものにするために「きっかけ→行動→みかえり」フレームワークを意識して声掛けをするようにしました。
この本によると「行動は「きっかけ」と「みかえり」で制御されている」と捉えています。今回の「ポイント制」の「みかえり」として、ポイントが与えられるわけですが、さらに感謝される、喜んでいることをしっかり伝えるという感情の報酬も追加することで、同じ行動をとる確率がぐっと上がるわけです。
簡単に言うと実行したらすぐ褒める。
もし仮に「ポイントをもらっているからお手伝いすることを当たり前だ」と言う意識で接していたら、次女はこんなに自主的な行動を継続している確率は低かったと思います。
人から認められる、感謝される、喜んでもらえるという感情の報酬は何よりもやる気を駆り立てるものだと思います。
我々社会人でも、「給料に見合った仕事をしろよ!」と言われるとカチンときますよね。やっぱり、「ありがとう」の一言が欲しいものです。
今では、次女は家事遂行者の主力メンバーになりつつあります。
私も家事力がある方だとは自負していますが、自発的にいろんなことにチャレンジ始めた次女に家事力を抜かされるのは、もう間近だと思います。
とてもうれしく頼もしいことです。
まとめ
我が家のタブレット戦争は「ポイント制」という新システム導入により、平和な方向に向かっております。
心理的安全性の考え方を用いて、少し声掛けを補強したことで、次女の成長が加速しました。石原家のパフォーマンスの向上にかなり寄与しております。
何より、家庭内が明るく元気になったことがとてもうれしいです。
家庭それぞれで事情があるので、他のご家庭で同じ結果になるとは言い切れませんが、参考になるところがあればうれしいです。
是非、この2冊の本は読んでみることをお勧めします。
「ユダヤに大富豪に伝わる最高の家庭教育」 著者:天堤太朗
「心理的安全性のつくり方」 著者:石井遼介
追伸:
数名の方から「うちでもポイント制をやりはじめたよ!」と声を掛けられました。参考にしていただき、とてもうれしいです。ありがとうございます。
表面上のポイント制を維持することに拘らず、「子供の良いところを親が見つけやすくする」方法との親側の意識が成否を決めると感じています。
子供をよく観察して、いっぱい褒めて育てましょう!