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1fujitagourako1
詩「瓦解」
悲鳴を上げることもせずに ガチャガチャと心は欠けていく
痛みを感じない振りをして 不可解な社会に溶け込む
TVでいくら報じても 人は攻撃を止めない
今日も澄んだ空に 誰かが打ち上げた透明な弾が何発も右から左に飛んでいた
平穏は簡単には訪れない
肌に擦りたくもない
弾を避けたいから
僕の靴底は右側だけが異様に擦り減っていた
社会に仕組まれたアンバランス
平坦な道の躓きが歪みを生み
崩壊は或る日 音も無く始まった
一枚が地面に落ちれば 次から次へと下へ崩れ落ちていく
轟音を響かせながら 日常は欠落していく
非日常は僕のすぐ側に沈黙しながら潜んでいて
危うい隙を狙っていた
落ちていったのは 繋ぎ止めていた心だった
破片はバラバラになって無惨に下に散らばっている
大切にしていたものは壊される
僕は今日も地面に張り付いて
泥が付いた砕けた心の一部を拾い集めている
人生は静かに続く
浅い息を吐き出しながら
以前とは同じ日常には戻れなくとも