詩「大樹の根元で」
或る晴れた日
レジャーシートをひかないで
大樹の根元に
寝転んだ
土を全身に浴びて
眩しい光が
粒になって
私の顔に首に
いそがしそうに
降り注ぐ
私は
軽く
息を吸い込む
現代社会に付けられた
肩書きは
投げ捨てて
素のままの自分で
からだで唸ろう
右耳から左耳へ
白い龍が移動した
カセット時代の聴覚は奪い去られた
目の中に
ぼんやり曼荼羅模様が浮かんだ
ショーウィンドウに飾られた欲望が消えた
口から
吐き出したトビウオは
雲の一部になり風と流れた
私は
ずっと
ずっと
改革を待ち望んでいた
深い
深い
眠りへと落ちて
腹の中の時計が
左回りをはじめる
起き上がって
砂をはたいたら
うだつのあがらない偏屈な自分自身が
この時代に似合う様に
律儀に分解されていた
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