詩「悔恨」
悔恨の海は白い
人々が流した涙の粒が集まって
今や海と同じになった
積年の情が寄せては返す
在るのは途方もない静けさである
この海に生き物は棲めない
(命の躍動は無い。)
底の色は少しばかり濁ってしまった
(最初の粒の哀惜すら分からない。)
内なる問い掛けを繰り返す
悲しみのリフレイン
大切なものを失うまで
アクセルを踏み続けた
ブレーキは効かなかった
引き返す事もできたのに
自分で歩みを進めてしまった
人が生きている限り
海は広がり続ける
そこに留まり続ける者と
その先を生きる者
地球の歴史の裏で白い海が凪いでいる