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詩「スペアミント」


頭の中に
言葉が詰まりに詰まっている
渋滞していて
なかなか出てこない
思想は
凝り固まっている
ついでに
肩はガチガチに固まっている

煙草の味は
永遠に知らない
私の人生には縁がなかった
煙草をふかせば
混乱した頭はクリアになるのか
ふとした感情は誤魔化せるのか
モヤは晴れるのか
僅かな疑問を
煙に巻いてくれるのか

ずっと
生身の体で生きてきたから
哀しみに抗う的確な術を私は知らない

スペアミントに手を伸ばす
適度な甘さと
少しばかりの僅かな刺激が
鼻から抜けて行く
口の中がリセットされる
(けれど、人生は、リセットされない。)

悪戯に哀しみを消化しきれず
空気に溶けていきそうだった
ひ弱な自分が
ふと
頭によぎる
あれから
かなりの時間が流れて行ったが
少しはマシな人間になれただろうか?

口の中で
咀嚼を繰り返す
スペアミントの後味は
あの頃と
変わらずに
少しだけ
ほろ苦かった

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