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詩「懺悔」



ヒタヒタと雨が降り続く
犯した罪の詳細を隠してくれる雨
純情も狂乱も ごちゃ混ぜになって流れて行く
あの日も濡れていた
確かに太陽カミは居なかった

街は枯れて萎んで散らされる
正しい場所にしか人間は寄り付かない
僕は僕の手で自分を帰れなくした
長年 住んでいた場所だった
猫だけが変わらずに僕を呼んだ
カサついて消えかけた鳴き声に
僕が応える事はなかった

許されると分かっているから
この場所に立っていられる
酷く罰せられるとしたら
寄りつきもしなかっただろう
扉の前で
僕の口から滑り出たのは
反省でも自戒でもなく
ただの言い訳だった
要するに
今までの僕の生き方そのものだ

許す人間の背後には陽が昇り
僕は また闇を徘徊する
これで終わりじゃないと分かっている
倒れ込んだ僕の背中に差しているのは陽の光か
冷たい雨か
皮肉にも 僕には まだ余白が残されている



排水溝に流れる茶色い水に流そうとした
得体の知れない物質が溜まっていて
うまく流れなかった
それだけだよ

重たくて仕方ないから軽くなりたかった
扉の前で
吐き出している最中 涙が出た
自分でも分からないけど
こんな風に生きたくはなかった
曇り空に差す光を見た

肌寒くなる季節なのに暖かかった
吹いている風は
ごちゃ混ぜの季節の匂いがした
頭の芯が痺れていた
鼻を啜ったせいかもしれない
身体の中心に空洞ができた
許されるのであれば
残りの人生をかけて償いたい

楽しみも
おかしみもいらないから
最後までやり切りたい
そして
ほんとうの最後には風に飛ばされて
審判が下らない
山奥の上の丘に咲く雑草になりたい

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