詩「ベータ」
黒い画面から
20世紀の遺跡が姿を現した
デコボコになった瞳から
アナログ映像の乱れた太古の化石が
ボロボロと零れ落ちていった
慌てて採取しようとしたら
黒いテープが私の右手に巻き付いた
ベータだ
(何度 上書きされたことだろう。)
私は あの時人の優しさを責め立てたのだ
心は宙に浮いたまま
形容しがたい感情がジェットコースターの様に
急激にうねったりした
(そして 結局、争いには負けた。)
封印したい過去はお土産の菓子箱に詰め込んで
記憶の奥底へ再び沈めた
自分勝手なナルシスト
いつまで過去の産物にしがみついて
上書きされた電影に心を寄せているのだろうか?
生気のない手がリモコンを握って
こちらを見てくる
(もう二度と観れない映像こそ甘美だ。)
テープの種類が異なるので
どうせ強制終了か…
私の目には
モノクロに映った砂時計の中の残りの砂が
不気味に笑う
残された時間には限りがあるという事を私に示してくれているのだろうか…
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