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詩「時は輝く」


何十年も肉体の内側に沈んでいった魂
浮上しない毎日
限られた言葉を交わす味のしない一日
実らないまま消化されていく
交差しない周囲の白い目
僕は僕のままで変形していく
芸術は呼応しない
夜に落ちていく

光が浮かび上がる区間に足を踏み入れる
燃える赤が目に飛び込む
鈍い銀のふちが妖しく光る
苦しみが息をしている
底辺から沸き上がる活気
むせ返る食べ物の湯気
雑多な臭いが鼻の奥にこびり付く
(生身の人間の香りが僕の脳を刺激する。)

黄緑色の電子の波を あの人は泳ぐ
華奢な身体で
新鮮な感情の渦を掻いくぐりながら笑みは咲く
過去の涙で錆びついた鈍い光が反射する
神経が繋がりを求め 血液は沸騰する
(掌に熱い希望が滲んでくる。)

魂の興奮で時は輝く

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