詩「君たちは誠実であれ」
地球は熱に焼かれ
ジリジリと黒くなった
期待していた季節は消えた
清らかな海も
とうの昔に不純な液体と混ざり合った
濁った水は私達の身体に還る
人間は崩壊を止めない
近所に住んでいそうな人間が
ニュース番組で
金の為に血に染まったと報道された
ネット画面は陽気な顔をして陰湿に微笑う
スマホは 短い時間で人々の思考に潜入した
はじまりは道具の一つにしかすぎなかった
かつて
何人もの若者が清純を忘れない様に心掛けたが
社会に出ると歪な大人達の仲間に入り
嬉々としてステンレスの歯車となった
大概は家族を守りたいがためだった
破壊されても
軋んだ音を立てながら 尚まわり続ける
惑星の軌道に沿って
濁った水を吸った
理不尽が積み重なった大地の上に立つ
既に何かに染まった顔の
我々には次の時代をつくる時間が無い
常識が目まぐるしく変わるこの時代に
毒素が入り込む余地の無い深層を想う
淀んだ空気が浄化された後の
手が届かない大気が続く上層を想う
(テレビ画面に突然に
素顔が映し出される事は無い。)
折れた内側から生えてくる清らかな新芽は希望の香を抱かせる
この地球が続く限り
君たちは誠実であれ