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詩「飛行」


温かい白い輪郭の淵に
柔らかな光を見た
尖った言葉を胃の中にしまい込む
ベッドが二人分だけ軋む
爪の先を丸くして
もう 誰も傷付けまい

窓が汗をかいている
掌で弧を描いて景色を呼び込む
強い風が
白い物体を
くるくると巻き込んでいるのを見た
確かに
あれは踊っていた
優美に
かつ
しなやかに

高くなった空が青白くなる
不完全な心は
肉体を置き去りにして
駆け出そうとする
飛びたい
飛びたい

君という温もりの中で
僕は また
僕じゃない幻を見ていた

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